宇宙に初めて触れたのは、小さい頃に読んだ『宇宙をみたよ!』という本だった。そういうわけで、おれにとっての宇宙船といえばスペースシャトル・エンデバーだし、宇宙飛行士といえば毛利衛なのだ。
それから大人になって宇宙を気にかけることがなくなっている間にスペースシャトルは引退し、宇宙機といえばソユーズやドラゴンのようなカプセル型の乗り物に取って代わられてしまっていたのであった……。そもそもシャトル型が主流にはならなかったのかしら。
ハセガワのスペースシャトルが最初に発売されたのは1984年。説明書にあるとおり、まだ彼らに「宇宙開発の様々な分野での活躍が期待されて」いた時代のことだ。
おれは一気呵成にガッと組むよりも、ちょっとずつ組み立てていくのが好き。胴体を、機首を、翼を、エンジンを、少しずつ組み立てていくたびにおぼろげにイメージしていた「スペースシャトル」の輪郭がはっきりとしていくのが本当に面白かった。
スペースシャトルは宇宙船であり飛行機でもあるので当然操縦席があり、操縦席があるということは窓があり、窓があるということは窓枠があり、窓枠があるということは枠の塗り分けがある。
おれは窓枠の塗り分けでガッツリ失敗した経験がありいまだに克服をできていないのであるが、ところがどっこいこのプラモデルは窓枠を黒いデカールで表現してしまうというソリューションによって、面倒くさい窓枠塗分けをしなくてもよいという親切仕様。デカールをスッと載せてタミヤのマークフィットで少し撫でてあげるとパーツのモールドにぴったりと密着してかなり雰囲気が良い。おれはデカールを貼る作業が好きらしい。
そのままNASAのロゴと、船の名「エンデバー」を主翼に貼る。画竜点睛の感。エンデバーの綴りはイギリス式のEndeavourだ。
いつかスペースシャトルで宇宙に行くのだと思っていた頃もあった。多分おれが生きているうちにひとびとが気軽に宇宙に行くなんて時代は来なかろうと思う。それでも近所にあるブラックホールの写真が公開されたり、スペースローンチシステムにスペースシャトルの面影を見たり、そういう折におれのシャトルを眺めながら宇宙に思いを馳せる夜があってもいいと思うのだ。