世の中には僕よりも大先輩のプラモが沢山あり、それを今でもお店やネットで購入することができるユニークな商材。初版よりは値段は高くなっているものもありますが、そういったプラモはまだ店頭で購入しやすい価格帯で僕らを待ってくれています。そんなレジェンドたちの中には、プラモが好きな僕らの心を今でも動かしてくれるものがいるのも事実。今回紹介する「タミヤ 1/48 傑作機シリーズ No.13 日本陸軍 四式戦闘機 疾風」のようにね。
1970年代のタミヤから送り出された名作である雷電、疾風、二式水上戦闘機のプラモを実際に組み、これらのキットに対して僕が思ったことを発売中のスケールアヴィエーション2021年5月号でもまとめさせていただきました。疾風と雷電は本当にこの時に初めて組みまして、「めっちゃすごい先輩にプラモの楽しさを教えてもらった気分」になってしまいました。
疾風は日本陸軍の戦闘機。1944年(昭和19年)春から部隊配備が開始され、主に日本本土に襲来するB-29爆撃機や艦載機の迎撃に従事。戦後のアメリカ軍によるテストで「太平洋戦争中の最優秀日本軍戦闘機」と評価された逸話もあります。零戦が日本機ではダントツの知名度ですが、それ以外にもあった優秀な日本機の魅力を自分で組み立てて知ることができるのもプラモの楽しさだと思います。
この疾風のキットには別紙でカラーイラストが入るのですが、これがただのカラーイラストではありません。塗装のダメージや機体の汚れ、各部のリベットなどが詳細に描かれたすごく美しいイラストなんです。塗装や仕上げの参考にもなるし、ポスターとして飾ってもかっこいいと思います。今ではあまり見ることができないサービス的カラーイラストはテンションが上がります。
大きくて綺麗なパーツがどんどん組み上がり、1時間もしないで机の上に20cmくらいの疾風が完成! 形を手に取り、グルグル見てワクワクする模型の楽しさの原点みたいなものを1650円で、多くの人が楽しめるプラモ。精密・細分化の模型があふれている今の世の中ですが、こういった模型を組んでみると「プラモの楽しさの道」はめちゃくちゃいろんな方向にあるんだなぁと改めて気づかされます。価格帯からも、素敵な大先輩と軽く1杯酌み交わしたような気分にさせてくれる素敵な模型をぜひ組んでください。
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)