

必死な顔でラジコンを操作する男。その横には双眼鏡を覗く男と銃を携えた男がその先にある戦車のような形の兵器を見守っている。そんなちょっと不思議な光景を描写した箱絵に惹かれて買ってきたのが、「1/35ドイツ突撃工兵チーム ゴリアテセット」。
この不思議なリモコン戦車はゴリアテという。モーター2個と12ボルトのバッテリー、そして爆薬を搭載したこの兵器を有線で遠隔操作して目標を爆発させるという代物。イヤホンですら無線でつながるこの時代には考えられない、有線で動くリモコン兵器に妙なかわいらしさを感じてしまう。
作ってみると、手のひらサイズの小さなゴリアテがやっぱりかわいい。履帯を組み立てるのが少し大変だが、ゴリアテは2セット入っているので失敗しても安心だ。

そして私がこのプラモデルで何よりも気に入ったのが説明図。兵士の組み立て図と塗装図を兼ねた説明図。描かれているのはドイツ人ながら、まるで浮世絵のような趣。そして、その下の配置例の図はゴリアテと3人の兵士を俯瞰したようなものになっており、こちらは大和絵のように見えてくる。


これを見て思い出したのが山口晃さんの絵だ。山口さんの描く絵は日本画や大和絵、浮世絵を発想の源泉にしながらもSFやポップカルチャーをも取り込んだ不思議なモノになっている。その絵はとても緻密になっており、作品集には簡易的なルーペがついてくるほどだ。

そんな山口さんの細密画とタミヤの精密な説明図の不思議な類似を感じるとともに、説明図もひとつの絵画のように見えてくる。説明図を拡大コピーしてスチレンボードにスプレーのりで貼り付け、部屋に飾ってみる。すると、ゴリアテの履帯の精密さや兵士の無機質な表情がよく見えて嬉しくなってしまう。

見やすく、わかりやすく、モチーフが魅力的に見えるように工夫が詰め込まれた説明図は私たちに「プラモデルを組み立てたい!」と思わせると同時にそれ自体も一つの美しい「絵」として完成しているような気がする。
まだ見ぬプラモデルの箱の中にはそんな、ちょっとしたアートの風を感じる説明図が潜んでいるかもしれない。皆さんも自分のお気に入りの「絵」を探しにプラモデルを買いに出かけてみてはいかがだろうか。