ハセガワ製の質実剛健な艦船模型!『クラッシャージョウ』のコルドバで考えるプラモの組み味。

 「ハセガワといえば飛行機模型でしょ」という先入観はもう古びたものになりました。新規金型ではカーモデルの開発が盛んですし、キャラクターモデルのラインナップもかなり分厚く、持ち味とされてきた繊細で切れ味鋭い造形と実直なディテール表現を飛行機以外のモチーフに展開することによって他社とはひと味違うプラモがどんどん産み出されています。

 開始から40年以上経った国産SFの金字塔『クラッシャージョウ』に登場する重巡洋艦(もちろん宇宙船です)、コルドバのプラスチックモデルが発売されたことで喜んだのはおそらくアラフィフ世代だと思うのですが、組んでみるとその素晴らしい形状にまずは圧倒されます。

 楕円と角張った部分を巧みに組み合わせた断面形状は緩急付けながら流麗に繋がり、全体のスマートなフォルムと近づいて見たときのマッシヴな塊感の対比は実際に手にしてみないと伝わってこないかもしれません。マクロに捉えてもミクロに捉えてもキャラクター性がビシバシと感じられるその両立ぶりは、アニメ的な演出にも極めて効果的だったはずです。

 船体にびっしりと入れられたディテールはとてもシャープで、こんな質感のプラモデルはなかなか目にすることがありません。グレー1色のプラスチックゆえに未塗装ではぼやっとした雰囲気ですが、スミ入れ(シャバシャバの塗料を凹部に流し込む技法)によってパネルラインがバシッと立ち上がってきます。スミ入れをするためだけに買ってもいいくらい、気持ちのいい彫刻です。

 さて、このプラモにおいて特記しておきたいポイントが「接着剤不要のスナップフィット仕様であること」です。ニッパーとカッターだけ用意すればスルスルと組み上がる……のですが、ハメ込みがけっこう固い部分もあったりして、終盤で尖ったパーツが沢山くっついている状態になると力をかけられるところも限られてくるのが少々困ったポイント。流し込み接着剤を少し塗ればスルッとハメることができるので、(対象となる年齢層を考えても)「これなら最初から接着モデルでもイイんじゃないかなぁ」と思ったりもします。

 最近の接着剤はとても高性能です(パーツを合わせてから流し込むタイプが特にすばらしく、パーツがピッタリとくっつくまでの乾燥時間ならば数十秒程度に抑えられています)。塗って、くっつけて、一日待って……ムニュムニュしたのがはみ出して……というイメージを持っている人にとって確かに接着剤に対する忌避感があるのかもしれませんが、イマドキのキットとイマドキの接着剤の組み合わせならばとてもスピーディーに、力を込めずに作ることができます。

 スナップフィットだと組み立てる順番やユーザーの力加減に寄っては奥まで入り切らない(これは設計や成形の問題ではなく、あらゆるスナップフィットに共通のウィークポイントだと思います)こともままありますが、いまなら接着剤を使えばピタッと組み立てられるだけの精度が出せるメーカーがほとんど。キャラクターモデル(とくにこうした艦船模型ライクなもの)だからこそ、小さなパーツやしっかりと力をかけて組み上げたいところに「接着剤も使う」という選択肢を取り入れてほしいなと感じました。接着剤が一本あれば、その後で飛行機やカーモデルを始めとしたスケールモデルも組めるようになるはずだし!

 細かなパーツは切り離した後もどれがどれだかわからなくならないように番号が振ってあったり、原寸大の塗装図が入ってるのはとても好印象!やっぱりカラーのプリントでイメージを膨らませながら組み立てるのはテンションが上がります。

 組み上がってみれば本当に破綻のないフォルムのコルドバが現れ、スミ入れ+部分塗装でも相当存在感のある仕上がりになります。パーツ数も抑制が効いた設計なので、じっくり作り込むのもよし、土曜に組み立て、日曜に味付けの2daysモデリングにも応えてくれるフトコロの深いプラモです。見れば見るほど惚れ惚れする造形のコルドバ。まだ買っていないのならば、すぐにでもゲットすべきアイテムだと思います!みなさんも、ぜひ。

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からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。