
翼が2枚、プロペラは後ろ向き。着水を想定したフロート。フジミの九八式水上偵察機は、パッと思いつくような飛行機の形からかけ離れたデザインがいっぱい詰め込まれていてかっこいい。
作っていくと、パーツはしっかり合うし、コックピットの位置合わせの鍵型の出っ張りがあったり、クリアパーツもたっぷりな接着しろが設けられていてとにかくよくできているプラモデルだ。あと、箱の絵のイメージよりも大きな翼は操縦席を作ると三人乗りだと気付けるので、乗る人数分翼が大きいのかなといった想像ができたりととにかく面白いプラモだ。

翼を二階建てにする工程はこのプラモデルの最大の山場で、専用のジグが用意されている。ここからが面白いところで、絶対に作ってほしいと私が思う部分だ。ジグを使いながら支柱を立てて上から翼を乗せていく。ジグと飛行機本体は下からマスキングテープで仮止めしておくと良さそう。

うまく作るコツはどうにもなさそうで、かなり苦戦する。しかし、試行錯誤していくうちに「複葉機ってよくできてるな」と気づくことになる。機体の中央に立っている支柱を全て取り付けると、ある程度の強度が保たれるのだが、この段階はとにかくねじれに弱い。不意にどこかにぶつけてピンっと張った支柱が一本折れて、なんとか弱いものかとびっくりしたほど。この後の工程の翼の端っこに支柱を立てるところまで完全な強度は保たれないといってもよくて、強度が生まれる構造の面白さを味わえる。

それでいてそれぞれの支柱の精度は良好なのがこのキットの独特さを際立たせていると思う。単純に組み立てに必要な技術力を試されているようで、だからこそ「なんで合わないのだろう」とうろたえたり、途中でぶつけて強度がまだ保たれていないことにも気付かされる。後ろ向きのプロペラもどういう角度にしておくかを気を配っておかないと絶妙に支柱の取り付けを遮ってくるところも結構好きで、たくさんプラモデルを作ったとしてもこういうことに気付けないものだなという驚きと楽しさがあった。
作ってみて簡単なプラモデルというのはもちろん良いものだけど、難しいプラモデルもそれと同じくらい良いものだと思った。フジミの九八式水上偵察機は精度がいいから余計にそう感じる。「ここが難しかった」なんて話をして、わかってくれる人がいるのも楽しいし「こうしたら楽にできた」って教えてくれる人がいればそれも楽しいだろう。