

計画を立てる。それがすべての始まり。「とりあえずなんかフレーム色を塗って、あとは手なりで好きな色を足していくか……」といった場当たり的なやり方では、 デスティニーガンダムSpec II &ゼウスシルエットの複雑すぎる色には太刀打ちできないと思った。たとえば、内部フレームのグリーンのパーツ(なんでグリーンなの!?というのはのちほどリンクから読んでください)になんとなく選んだゴールドを塗ると、ほかの部分との調和がかなり難しくなる。とにかく色数が多いので、詰め将棋のように お互いの明るさや色相や彩度を決めていくことが重要になる。
HGゼウスシルエットの箱を開けた瞬間、驚いたのはパーツのボリュームよりもプラスチックの色数だ。数えてみれば、19色にもおよぶパーツたち。 もはやカラフルな色分け済みプラモデルと言うよりも、朝の保育園の送り込みで園児たちがワイワイ言ってるのを見るのと同じ気持ちになる。にぎやかすぎる。

組むだけでも充分にカラフルなこのキットを 塗装しようと決めたとき、最初に直面するのは「どこから手をつければいいのか?」という混乱。 本記事は、完成までに塗った1色ずつをいかなる理由で選んだのかを綴った塗装記事をひとつに束ねたいわゆるカラーレシピである。
ゼウスシルエット、自作のフレーム用ゴールド。宇治抹茶ケーキ色のパーツが用意されているが、それはいったいなぜなのか。そしてこれをただの「ゴールド」で覆い尽くしていいのだろうか。むしろ愛すべき色として調色の起点にすればいいのではないか。
いわゆるメカ色に効く、GXグラファイトブラック。ガンプラの「濃いグレー」を盛り上げるならいつでもどこでも必ず味方になってくれる。黒に見えて、黒じゃない。成形色そのままの明度をキープしながら立体感を演出してくれる“GXグラファイトブラック”は、武装類を美しく仕上げるための最適解だった。
レールガンのバレルは純正の「ゼウスゴールド」一択。水性塗料で、ここまで美しいゴールドがあるとは。ゼウスの名を冠するこの塗料は、発色も塗りやすさも最高。迷わずこれを選んでよかった。ちなみにアカツキがバレルの1本目を使い捨てているのでデスティニーが発射するシーンでは背中の予備バレルが1本でディスプレイしたほうがいいよね……と言いつつこの色がとてもいいので2本背負わせてしまいがち。悩ましい。
完成予想CGは設定や塗装見本と全然違う印象。しかし最初に見たときの印象があまりにも良かったので、レールガンのグレーはかなりどっしりと調色したメカ色にした。本体の関節色もただのグレーではなく有彩色に。茶色を混ぜて作るウォームグレーは濃淡2色を作ったけど、本体とゼウスシルエットの差をやりすぎなくらいにブーストしてもよかったな……という話。
「白」とひと口に言っても、実際には何百通りもの“白”がある。しかも、昔と違っていまは信じられないほど豊富な「白い塗料」の選択肢がある。塗りやすさ、発色、隠蔽力……その選定が完成後の佇まいを左右する。白に悩むすべての人へ贈るお話。白を塗りたいとき、本当に白を塗るか、それとも……。
真っ黒パーツに本当に真っ黒を塗る意味はあまりない。さらに真っ黒に塗ると陰影が乏しくなり、黒背景で撮影すると輪郭が消えてしまう。かといって明るいグレーでは締まらない。そんな時に選びたいのがNATOブラック。全体に調和しながらも輪郭が消えない色として、あまりにも万能すぎる。
黄色はとにかく発色の良さで選びたい。下地が何色だろうがバッキリと黄色くなり、重ねてもムラが出にくい。赤や青との調和を考えても、ロボットプラモの黄色はこの塗料で決まりでしょ!という話。プラモデラーが考える「いい塗料」を、ユーザーも体感できる時代ですよ。
ガンダムの“青”をどう塗るか。インディとコバルト、混じり気と純粋さ。それは全体の主張・印象・温度感すべてに影響する。『ガンダム・センチネル』の時代から続く、発色と隠蔽力のせめぎ合いに注目した記事。いまだにいちばんむずかしい色かもね。青。
赤も発色を優先しようとすると色選びが難しい。あと写真では微妙な色調が写りにくい。そこで異なるトーンの赤を2色使うことで、立体感とリズムを加える。小さな工夫が全体を整える。とか偉そうなこと言いつつ、狙いのあるツートンはなるべく違いを大きくしたほうがいいね。そのへんもぜひ読んで。
最後の仕上げは“魅せ色”で決めたい。ガンダムマーカーのホロレッドという選択は、ただのメタリックでは出せないきらめきと存在感を与えてくれた。塗料の特性、エアブラシで吹くコツも書いておきました。
色を決めるのは自分。でも、迷ったときは誰かのレシピを。もしあなたがガンプラを塗ろうとしているなら、最初に全体の設計図を描いたほうがきっといい。 色の選定に理由があること、色同士の組み合わせにセオリーがあることに気づけば、塗る前の不安はきっと“計画”という形に変わる。 すべての色には、ちゃんと塗りたい理由があるなということを、自分でも再認識した。

タイトルの答え……つまり、「なんでゼウスシルエットを塗ったの?」という話なんだけど、去年フミテシが開催した模型展示会『いわき春のタンまつり』がきっかけ。夜にみんなで行ったスナックで、プロモデラーの國谷さんが披露してくれた『FREEDOM』のカラオケが信じられないくらい上手だったのである。あまりにもうまかったので、家に帰ってから『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』を初めて鑑賞してさらに大興奮。それからずっと「オレはゼウスシルエットをカッコよく作って、あのカラオケで感じた衝撃を手間暇かけて本人に返したい!」と思っていたのだ。
普段は飛行機やクルマのプラモデルばっかり作っている自分が思えば遠くへ来たもんだ……って感じだけど、ガンプラを雑誌作例みたいな手つきで作るのはいつかやってみたかったことだし、実際に手を動かしたらとてもたくさんの気づきがあった。人間、スナックからでも大成長できるのである。なんだそれ。そんじゃまた。