
週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週はホビージャパン送り出したバイク模型「HJMバイクシリーズ No.1 1/12 Honda NSR50 ’89 ロスホワイト×ファイティングレッド」をピックアップします!
1980年代後半から90年代、バイク少年たちを夢中にさせた小さなレーサーレプリカ「ホンダ NSR50」。1987年に登場したこのバイクは、50ccの小さな車体に水冷2ストロークエンジン、6速ミッション、前後ディスクブレーキなど本格的な装備を詰め込んだ、まさに「小さいけれど本気」のスポーツバイクでした。

僕は1983年生まれなのですが、ひと世代上のアニキたちにNSR50の話を聞くと、これがまた盛り上がる! 「レーサーに憧れて買った」「ヒザすりを楽しみたくて乗っていた」「Nチビね! 免許を取ったばかりの高校生が夢中になっていたよ」などなど、次々とエピソードが飛び出してきます。自分の好きな色に塗って楽しんでいた人もいたそうで、どうやら単なる50ccのバイクではなく、当時の若者たちの青春が詰まった一台だったようです。

そんなNSR50が、今度は僕らの机の上にやってきました! なんとパーツ数は約47点!(約50点とは言わない刻み!!) しかも接着剤不要で、パチパチと組み立てられる仕様になっています。小さな車体に本格的なスポーツバイクの魅力を詰め込んだ実車のように、このプラモデルにも作る楽しさがギュッと凝縮されているのです。それではさっそく作ってみましょう!

特に綺麗だな〜と思ったのが、この燃料タンク。鮮やかな赤がしっかりと発色していて、透け感もありません。プラスチックの色をそのまま活かしたくなる美しさです。成型色が綺麗だと、組み立てるだけでもワクワクしますね!



説明書もすごい! フルカラーで見やすいだけでなく、デカールの貼り方を解説した冊子まで付属。水転写デカールの扱い方から、綺麗に仕上げるためのコツまで丁寧に紹介されています。初めて水転写デカールを使う人にも嬉しい内容です。

さらに注目したいのが、塗装指示。「成型色を活かした部分塗装」と明記されているんです。全部塗装しなくてもいいんだよ! というメッセージが伝わってきます。せっかく綺麗な色のプラスチックなのですから、まずはその色を活かして楽しんでほしい。そんなキットの方向性が、説明書からも感じられます

ブレーキディスクにも注目! 円盤の周囲に並ぶ小さな穴は、なんと最初から成型で開口されています。実車のNSR50は、50ccでありながら前後ディスクブレーキを装備した本格派。そんなメカニカルな魅力も、少ないパーツ数のなかでしっかり再現されています

こちらは車体の骨格となるフレーム。複雑な形状が一体で成型されています。少ないパーツで本格的なバイクの姿を再現するための工夫が、こうした部分にも詰まっているんですね

こちらはエンジンの一部から後輪へと動力を伝えるチェーン周りまでが一体になったパーツ。普通なら細かく分割されそうな部分ですが、なんと1パーツ! それでいてチェーンやスプロケットの立体感もしっかり表現されています。こういう大胆なパーツ構成も組みやすさに繋がっています。

組み立てはパーツをカチッとはめ合わせるだけ。これがとっても気持ちいい! 接着剤不要のスケールモデルでも、パーツを差し込む部分が繊細すぎて、かえって組み立てに気を使うものもあります。でも、このNSR50は違いました。軸や軸穴が無理な力のかかりにくい場所に設けられていて、怖がらずにパーツをはめ合わせていけるのです。

組み立て開始から15分ほどで、エンジンがフレームに収まり、前後のタイヤも付いてバイクらしい姿になりました! カウルが付く前のこの姿も最高にカッコいいですね。小さな車体にエンジンやフレームがギュッと詰まった、NSR50ならではのメカニカルな魅力を楽しめます。

チャンバーから続くサイレンサーが「車体右側の低い位置(ダウンマウント)」に配置されています。このチャンバーから後方へ伸びるマフラーを車体に沿わせて組み付け、最後に軸へカチッとはめ込む。この一連の作業がとってもスムーズで気持ちいい! 実車の特徴的な部分を、自分の手で組み上げる楽しさが味わえます。

フロントのアンダーカウルもよく考えられています。切り欠きを軸に沿ってスライドさせ、最後にフレーム側の軸へカチッとはめ込むことで、しっかり固定されます。

カウルを装着すると、一気にレーサーレプリカらしい姿に! かつてバイク少年たちが憧れた、あのスポーツバイクの雰囲気が机の上に現れました。

そして今回、このNSR50を組み立てていて、もうひとつ感心したことがあります。それは、ホビージャパンのプラモデルに対する柔軟な姿勢です。
これまでホビージャパンは、74式戦車など、細かく分割されたパーツを組み上げることで精密な姿を再現する、本格派のスケールモデルを発売してきました。そうした模型には、細部まで作り込む楽しさがあります。しかし今回のNSR50は、そこからガラリと方向転換。約47点という少ないパーツ数と接着剤不要の組み立て方式で、誰もが気軽に完成を目指せるプラモデルになっています。

80〜90年代に青春を過ごした人たちにとって思い出深いバイク。現在のプラモデル市場を支える中心的な世代とも重なります。そんな人たちが「ああ、懐かしいな〜」と手に取って、難しい工作に身構えることなく、最後まで楽しく組み立てられる。もちろん、当時を知らない人だって気軽に楽しめます。精密な模型を作る技術があるからこそ、あえてパーツを減らし、組み立てやすさに力を注ぐ。精密さを追求することだけが、模型の進化ではないんですね。作る人や題材に合わせて、プラモデルの楽しませ方を柔軟に変えられる。今回のNSR50からは、そんなホビージャパンの模型作りの面白さが伝わってきました。小さいけれど、本気のNSR50。そして、少ないパーツに作る楽しさをギュッと詰め込んだ、本気のプラモデル。ぜひこの週末、あなたの机の上にも迎えてみてください!