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【レビュー】作品展で買う一期一会のプラモデル/テオヤンセンのストランドビースト

 ベージュ色の脚がわさわさ生えた奇怪な構造物が風の力で砂浜を歩く、一見するとアートなのか珍発明なのかわからない謎のオブジェを作る、テオ・ヤンセンというアーティストがいます。名前を聞いたことがなくとも、一度はメディアでその作品を目にしたことがあるはずです。90年代から制作をスタートしており、作品のインパクトと存在感の強さから定期的に話題を集めている造形作家です。
 そんなテオ・ヤンセンの作品展が富山県立美術館で開催されていたので行ってきました。

 テオ・ヤンセンの作品は細いベージュ色の塩ビパイプから構成されており、それぞれの部位が軸構造で組み合わさることで動くようになっています。関節はなんとパイプの一端を切り出して巻き付け、焼嵌めと結束バンドにより結合されており、合理的ながらも生々しい雰囲気を醸し出しています。所々に空気を送るチューブがあり、ペットボトルに圧縮空気を詰め込む仕組みが張り巡らされています。この機械的かつどこか有機的なディティールは、すべてプラスチックという有機物から構成されている「生き物」だから、というのがこの作品の中心にあるようなのです。

 会場にはテオ・ヤンセンが機構の検証をするために制作した動作モデルも展示されていました。近くで見るとディティールの密度に圧倒されます。縮尺のためにパイプの太さや関節がオーバーにできているのが分かるでしょうか。模型といえば模型なのですが、同じ作者が同じ製法で作り出したこれ、もしかするとストランドビーストの幼体なのかもしれません。
 いやあ、いいもの見たなあ……と思って会場を後にすると、ミュージアムショップではストランドビーストのプラモデルが山積みになっているではないですか。ストランドビーストのプラモデル。いや、さっきの理論で言えばこれは本物?混乱した頭のまま手に取りレジに向かいました。

 せっかくなので、今回は5歳の息子と一緒に組み立てをしてみました。ムカデのごとく同じ形のパーツがウゾウゾと生えている都合上、ほとんどの工程が脚のリンクの組み立てに終始するのですが、これが子供と一緒に遊ぶにはちょうどよかったです。ニッパーでたくさんあるリンクのパーツを切り離してもらうその間に、私が素早く組み立てを進める分担で進めていきました。

 途中状態を見せることで、リンクがどのように動くのかを実演してみせることができるのも楽しいです。組み立て中はリンクが少し外れやすかったりはしますが、組み上げてしまえばパーツが脱落するようなこともなく、しっかりとしたたたずまいのストランドビーストが出現します。

 最後に風車を取り付けて完成。息を吹きかけるだけでスルスルと脚が動き出し、音もなく軽やかに歩きだすので結構感動します。やっぱりこれはストランドビーストの幼体なんだ、なんて夢想することもできますよ。販売は会場限定となっておりちょっと手に入りづらいキットなのですが、お近くの街にテオ・ヤンセンが来た際には、ぜひ。

ヤジマのプロフィール

ヤジマ

1985生まれ。インハウスの自動車デザイナーを17年勤め、今は大学教員をしています。エンジンとタイヤのついたものが好き。

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