

「なんか海辺で足がたくさんあるのと一緒に歩いてるおじさん」というくらいの知識しかないテオ・ヤンセン展が地元静岡で開催されていたので行ってきたら、プラモ魂に火が点いてしまいました。
テオ・ヤンセンはオランダの芸術家。風の力を使って動く作品(テオは「生き物」と呼称)のストランドビーストを作成しています。このストランドビーストがまあかっこいいこと。使われているのは主にプラスチックチューブ、塩ビ管、ペットボトル、結束バンド。プラスチックで作られたいき“も“のなので、これはもう広義の意味でプラ“も“と言って過言ではないでしょう。ほんとうに?

ストランドビーストは冬から春にかけて、テオの手によって生み出され、初夏から海辺で動き回り、夏の終わりと共にその一生を終え、テオのアトリエの近くで眠りにつく(化石になる)という生き物です。その後テオはその化石の設計や或いはパーツを再利用し、新たなストランドビーストを生み出します。その繋がりをテオは進化と呼び、これまでの作品が進化系統樹となっています。設計思想を生かして新たなものが生み出されていく。これはもうゲーム、ギレンの野望でやったモビルスーツ開発のやつじゃないですか……。

展示されている作品は一生を終えた「化石」なわけなのですけれど、その化石となった作品を再び動かしてくれる「リ・アニメーション」を実施してくれています。今回私が訪れた時に動かしてくれたストランドビーストは「アニマリス・オムニア・セグンダ」。”すべての”という意味のオムニアが示す通り、これまでのビーストすべての機能を有するとされるものでした。これはもう最終決戦とかで見る「パーフェクト」的な感じのあれじゃないですか……。

ストランドビーストたちはその動き方に特徴があります。テオ・ヤンセン機構と呼ばれる独特の機構でもって可動させて生き物を生み出す。テオは生き物として、いきいきとした姿を動かすことに見出している。これは私たちがプラモデルを作る時にそのモチーフがなるべく輝く姿で飾りたいと思うことと似ているようではありませんか。

そして生まれる美しさ。言ってみればどこにでもあるプラスチックチューブや塩ビ管が「動く」という機能を求められた中で生まれた機能美、造形美。結束バンドに美しさを感じたことがあるでしょうか。ロックバンドのグループは別としてですよ。そのものに意味があればどんなものでも美しい。そんなことを語りかけてきます。

思えばプラモデルに対して不誠実だったかもしれない。プラモデルの姿はもっと魅力的にできたのではないか。俺の適当に作ったプラモデルはテオの明確な意識で使われた結束バンドに負けているのではないか。そんなことを思うともう堪らない。ミュージアムショップで売っていた学研さんの「ミニ・ビースト」を購入して早速作成です。この小さいビーストを見るたびに「美しさとは何か」と考えた今日の事を思い出すことにしましょう。