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【レビュー】「タミヤの密度」を体感するならオープントップ!/1/35 ソビエト陸軍 自走砲SU-76M

 対ドイツ戦中に開発され、各地の戦線へと大量配備された傑作自走砲「ソビエト SU-76M」。軽戦車由来のコンパクトさ、絶妙な形状をもったモチーフがタミヤの誇る丹念な実車取材を基にプラモデル化されています。発売から今年で10年を迎えますが、現在もAFV模型界を牽引する「タミヤらしさ」をその「密度」という視点から体感することができるキットでした。では、魅力的なオープントップを覗き込んでみましょう!

 小型ながら高い走破性を発揮したとされる足回り。履帯は自然な弛みを表現するために一体成型と分離式を併用する仕様です。このための治具パーツもしっかりと用意されています。確実に必要な履帯を合わせるためのツメが設けられているので数作業も苦になりません。

 転輪から車内外のディテール、戦闘室に搭載される2種類の砲弾や短機関銃も精密に再現されています。

 オープントップということで装甲板の内側にも抜かりなくモールドが!面的な形状をしているので、パーツも各面の装甲板やパネル別のパーツとなっていますが、これがどんどんと組み合わさって車体が構成されていく様は、密閉式の戦闘車両とまた一味違った面白さです。組み合わせを補助するためのガイドモールドもタミヤらしいユーザーフレンドリーな設計なので、スムーズに進めることができます。

 ワイヤーロープは両端がプラパーツ化され、ロープ本体は化繊の糸が同梱されています。

 自走砲の最重要部分である主砲ZIS-3Sh。砲身が一体成型なのが嬉しいです。

 クリアパーツは他キットとの共通ランナー。前照灯のパーツをひとつ使用します。

 主砲の基部なども各部のディテールがしっかりとパーツ化されています。車体同様、これらがどうやって組み合わさるんだろう? となりながら組み立て説明書を辿るうち、ふと気づいた瞬間に形が出来上がる驚きは実在モチーフの醍醐味のひとつですよね。

 車外搭載品の各種工具類もしっかりとスケールに合ったミニチュアとしてパーツ化されています。スコップや斧、スレッジハンマーといったお馴染みのものから、丸太を切り出すための両引きノコギリにも注目です。丸太を敷いての泥濘からの脱出、対成形炸薬弾用の即席増加装甲として現地調達していたのかもしれません。そんな当時の風景を想像できる象徴的な付属品でした。

 平面的であった装甲板に各種搭載品が付いていくと、どんどん立体的になっていきます。砲弾ラックは砲弾を1発づつラックに収めることで精密さを実現。左右にマウントされている短機関銃PPSh-41は対歩兵用の車載機関銃も兼ねているため、多数のマガジンが積まれているところもしっかり再現されていました。

 車体と戦闘室の装甲板が組み合わさっていくと、一見するとシンプルなようで絶妙に角度のついた形状が明らかになっていきます。ボルトやフックなども精密なモールド。

 ドライバーズハッチは鋳造製ということで、テクスチャーもしっかり入っています。素組み状態で部分毎の製法の違いがしっかり表現されているのもタミヤらしいポイント。

 戦闘室を俯瞰で。床面のディテールも抜かりなくしっかり再現。情景化も考慮された一貫した姿勢が感じられます。

 反対側から。より複雑な内部の面構成を見ることができます。無骨な搭載品と隔壁の組み合わせ、そこにスッと覗くシートが1/35スケールの世界へとさらに引き寄せてくれました。

 転輪の取り付け、治具を利用した履帯もスムーズに巻けました! ソ連車両らしい趣が凝縮された姿です。

 車体がほぼ組み上がったところで主砲を組んでいきます。砲身、防楯側のシンプルさと砲尾や操作部分の精密さのコントラストが同時に楽しめるのもオープントップの魅力。細部の組み立てにますます気合が入ります。

 主砲を搭載!上下左右に可動させることができます。これで自走砲本体は組み立て完了です。

 モチーフとしては総生産数1万輌を超える傑作自走砲ながら、これまでキット化にあまり恵まれていなかったSU-76M。タミヤからのプラモデル化で一気に決定版が登場したと発売当時も話題になりました。実車から読み取られた確かな形、それをスマートに成立させる設計、その先に出現するディテールがギュッと凝縮した風景をもつ魅力的なオープントップの箱庭が完成しました。サイズの大小だけではない楽しさにも溢れたキットなので、これからAFV模型を始めてみたい方にもオススメのキットです!

 そして、オープントップの自走砲に欠かせない最後の要素!乗員ももちろん付属しています。面の強い形と車体内外のディテール、リアリティに溢れたフィギュアが共演してこその「タミヤの密度」です。後編では、そんな箱庭に乗り込んでいくソ連自走砲俳優の御三方に迫っていきましょう! お楽しみに!

大森 記詩のプロフィール

大森 記詩

1990年生。彫刻家。美術大学在籍中から模型誌作例や作図などに携わる。現在は作家活動と並行しながら主に筆塗り作例を担当。合わせてミキシングビルド/キットバッシングによるSFメカニックを月刊ホビージャパンを中心に発表している。

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