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さらに洗練された新規設計。タミヤのM36駆逐戦車は足元にも注目です!/タミヤ 1/35 M36駆逐戦車レビュー

 ドイツの強力な戦車に対抗するべく作ったオープントップの駆逐戦車、M10(写真奥の車両)。それでも足りない火力を補って、さらなる強力な砲を搭載したのが、今回ご紹介する「アメリカ駆逐戦車 M36(写真手前の車両)」です。

 M10もタミヤは中期型として同じミリタリーミニチュア内で製品化。No.350として2016年に発売されています。こうやって並べてみると、M36が強化型なのがよくわかりますよね。

 一見似ているようですが、隣にM10のパーツを置いて比較してみると、グリルの広さが違います。これはM36がベースにした車輌がM10A1というガソリンエンジン装備であり、M10中期型のキットはディーゼルエンジンというところが影響しているのでしょう。そんな違いを楽しめるのもプラモデルならではです。

 そのあたりの濃厚な解説はキットに同梱されている別紙に書かれています。M10では足りなかったところからスタートして、M36がドイツの猛獣ハンターとして奮戦する話まで。さらに、公式にはジャクソン、という名前があったんだけど、パッケージを見ても分かるとおり全然広がらなかったところも面白い。カラーガイドも兼ねており、そこには5方面から見た塗装図があります。どっちも単色ではありますが、デカールの位置がわかりやすいのでありがたい。

 組み立てで面白いのは脚周りです。結構複雑なサスペンション部分をうまくまとめつつ、左右ミラーの形状を再現するために結構考えられたものになっています。今回履帯の位置合わせに、一番前のユニットのローラーに突起があったりして、M10と変わっています。そう、じつはこのキットM10と同じパーツが基本ないんですよ。同じように見えて(クリアーパーツ以外)ほぼ新規開発なんです。

 サスペンションのセンター部分を作ってから、外側のプレートを接着します。右左でミラー形状なので、右用だけ4つとか組んでしまわないように、一番外側のプレートはダボでどちら側に着くかを指定されるのです。こうやってM4中戦車をはじめアメリカの車輌ファンならおなじみのサスペンションでも、タミヤは毎回組みやすさやパーツ分割を工夫する……。これがタミヤの地力を支える、プラモデルを設計する筋力となっているのでしょう。

 戦車をぐるりと一周する履帯(キャタピラ)。まずこのローラーのガイドと履帯に空いている穴とを接着します。これで起点がしっかりするので、履帯の向きも間違えないし、ひとつひとつの接着がうまくいくようなっています。

 プラパーツで成型されたロープは座金と一体化して、穴にはめて接着剤を流し込むと、それだけで自然なルートを取れる。かつては車体の座金のモールドに、糸で表現されたロープを頑張ってはめたり接着したりしていたので、これがとってもラクなんですよ。レオパルト2A7Vでもうれしかった部分。

 ファスナーが施された布のパーツ、その表現はすごいものでしたが、その正体は砲塔後部の砲弾ラックのカバー。しかもすごいのが、裏側のピンが砲塔後部のパーツにピッタリと収まるので、ズレなく垂れ下がった状態に貼り付けることができるのです。

 ピンの位置を合わせれば、このように開いたカバーがラックの端とつながったかのような表現になります。布らしい質感が硬いプラスチックでここまで追求できるのです。

 実車のM36は、足周りのM4シャーマン系からはじまり、拡張されたM10の車体、そしてさらに強化が図られてM36として完成を見せます。タミヤのプラモデルもすでにそれらの車両パーツなどがありますが、よりかっこいいM36を生み出すために、ほぼすべてを新規パーツ&新規設計で開発。M36に全集中したプラモデルなのです。ロープも履帯も硬質なプラスチックにしながらも、それぞれの素材感が伝わってくるような起伏やシャープさとなっています。カッチカチに鍛え上げたキットの楽しい世界をぜひ組んでみてください。

けんたろうのプロフィール

けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。

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