
2024年にアオシマが発売した「1/700 飛龍」は、過去発売された空母のプラモデルに最新の装備品と艦載機を組み合わせて完成度を大きく引き上げた”リニューアル版”です。古いキットをただ再販したのではなく、2003年/2009年/2024年という三つの時代の設計をひとつのパッケージのなかでうまく融合し全体の解像度をきれいに揃えたすばらしい内容の空母モデルとしてオススメなのです。

まず船体は、2003年に完全新金型として登場した「新・飛龍」のパーツがそのまま使われています。これは、ウォーターラインシリーズにおけるアオシマ製帝国海軍空母のリニューアルの口火を切った重要なアイテムで、全体の形状やバランスはいま見ても非常に完成度が高いもの。その後、2009年に登場した姉妹艦・蒼龍がさらなる精密化を実現したことで、シリーズは一気に現代的なディテール表現へと進化しました。

今回の2024年版では、船体の基本構造を維持しながら、艦の印象を決める艤装パーツがすべて新金型に置き換えられています。九四式射撃装置、八九式12.7cm連装高角砲(通常型・煙避盾付き)、九六式25mm連装・三連装機銃、艦載艇やダビット、菊花紋章、錨といった細部まで一新されており、シリーズ全体で長年混在していた古い共通パーツの印象を完全に払拭しました。かつてはこうした艤装の精密化を求めて、上級者がエッチングパーツや他社製パーツを組み合わせていましたが、いまの飛龍はアオシマ純正のパーツだけで自然な統一感が得られるのです。

甲板の上に並ぶ艦載機もアップデートされています。ランナーには「SORYU」と刻印されており、2009年の蒼龍リニューアルの際に新規開発された零戦、九九艦爆、九七艦攻がセットされています。1/700という小スケールでありながら、翼の厚みとパネルライン、着陸脚の処理、吊り下げ兵装の形状などが非常にバランスよくまとめられており、表現力が格段に向上しました。これにより、船体/艤装品/艦載機の解像度が揃い、空母全体としての完成度がいっそう引き締まっています。

飛龍はもともと、帝国海軍の中型空母として蒼龍と並行して建造された艦で、艦橋を左舷側に備える点が特徴です。組み立てやすさも良好で、細かい支柱や砲座周辺のパーツはやや繊細ですが、全体の構成は整理されており、初めて艦船模型を作る人でも問題なく完成までたどり着けます。そもそも素晴らしいキットが、新しい艤装と艦載機を得てふたたび輝きを増しているのが嬉しいポイント。

アオシマのウォーターラインシリーズは、長い時間をかけて部分的な更新を積み重ねることで、時代に合わせた精度を獲得してきました。2024年版の飛龍はその集大成のひとつとして位置づけられます。船体・艦載機・艤装という三層の世代が完全に統一され、ハコの中に入っているものだけでも空母という存在を高解像度に味わえるのが細大の魅力です。別売の追加パーツを用意しなくても、ウォーターラインシリーズはちゃんと楽しめるんだよ……ということを教えてくれる、とても素敵なキットなのです!