

「チャーシュー、両国、世界」の並びに、ワイルドすぎるネーミングセンスが光ります。望月三起也先生の代表作、漫画『ワイルド7』より主人公の飛葉大陸がライドするCB750FOURがアオシマから新作プラモデルとして発売されました。ワイルド7を知らない人でも、望月先生の破天荒な世界観にはきっと惹かれるはずです。
まず何がすごいってパッケージ(と説明書)の右上隅に入っているロゴが現在のアオシマのものではなく、1973年当時のものになっていること。会社のロゴって看板みたいなものですから、そうカンタンに古いものをホイホイ使うもんじゃありません。アオシマはそれを承知でパッケージイラストからタイトルのタイポグラフィに至るまで復刻し、「当時熱狂したワイルド7のファン」に向けて最新最強のCB750FOURを届けようとしています。

上写真に写っているのが飛葉ちゃん仕様にするために新規に設計(あるいは色替え)されたパーツたちです。今から半世紀前にアオシマから発売されたプラモデルは現在のスケールモデル的なアプローチというよりも走行や武装発射も可能な玩具的内容でしたが、なにせ本アイテムのベースになっているのは昨年末に発売された超絶ディテールのウルトラ精密キット。ただ組み上げるだけでもだいぶ集中力を要しますが、そのかわり1/12スケールのバイク模型の中でもトップクラスの再現度を誇るものです。

エンジンひとつとっても恐ろしいほどのパーツ数があり、この緻密さが全身にわたって繰り広げられるスーパープラモデルがアオシマのCB750FOURです(上写真はノーマル仕様のK0を組んだものなので一部パーツの色が飛葉ちゃん仕様と異なります)。そこに荒唐無稽で手に汗握るワイルド7の冠がくっついたことで、「昔プラモデルをちょっとだけ作ったことがあるなぁ」という人もこのキットを買うかもしれませんが、ワイルド7の漫画連載やドラマ放送時というのはカラーテレビの普及率が白黒テレビを抜き去る時期とほぼ重なっております。当時のプラモデルしか記憶がない人にしてみれば、TV放送の進歩の歴史を何も知らずに突然4K HDRリマスターの世界を見せられるようなもんです。おそらくみんなが「この50年にいったい何が起きたんですか?!」と驚くはずです。思えば遠くへ来たもんだ。プラモデルってこんなにすごいことになってんのか、と。

流石に飛葉ちゃんのフィギュアは付属しませんが、かれの息吹を感じさせるヘルメットは新規パーツで付属。レッグガードや噴射装置、シートなどなど、超ハイデフなナナハンフォアに(当然描きやすく読みやすいようにディテールの取捨選択がされていた)漫画の世界のパーツがくっつく……というのが非常にプラモデル的で、これぞリアルグレードなワイルド7の立体造形物なんだよなぁ、という気持ちにさせられます。っていうか、このプラモデルから『ワイルド7』を知って漫画を読む人が現れたら、それは本当に幸せなことだよね……。

「CB750FOUR」とタグに刻印された黒いランナーに並ぶ物騒なパーツたちは、コルト・ウッズマンの銃身(場面によって長短使い分けていた)も再現しているし、わざわざ4パーツで構成されたM31ショットガンまで気合が入りまくり。「ちょっとしたパーツやデカールを付けて劇中車を再現!」ではなく、ワイルド7のプラモデルと言えばアオシマ、そして渾身のCB750FOURに解像度を合わせるならカスタムパーツや飛葉ちゃんの愛銃だってここまでやんなきゃアカンでしょ!という気概を感じます。カンタン気軽にサックリどうぞ、とは決して言えない超絶プラモデルですが、しかし必然のバリエーションとして怪気炎を上げる一作と言えましょう。