

『ガンダム・センチネル』のことをみんなどれくらい丸暗記しているかわからないけど、あの連載に登場する作例たちを通して「モビルスーツにめちゃくちゃきれいな発色の青を塗るとイカす」ということが発明されたのは間違いないと思うんですよね。もちろん上の写真で示したようなデスティニーガンダムの青、つまり「黄色みがかった青(しかもちょっと暗い)」がイケてないと言いたいわけではないんですけど、ことガンダムの配色においては黄色や赤や白との干渉を考えると黄色みが入っていないほうが全体のまとまりを演出しやすい。だから、1990年代まではGSIクレオス(昔はグンゼ産業と言ったね)の「コバルトブルー」を起点に調色することがひとつの解とされていました。
しかし、2000年代以降は模型用塗料の世界でも「黄色みを極力抑えた青」のラインナップが拡充しまくっています。とは言え、ラピスラズリのようなバッキバキの青は模型用塗料の顔料に使うには高価だし、そもそも色って純度(彩度)を上げれば上げるほど隠蔽力が下がるので、白を混ぜて透けないようにする……というのがセオリーとなっています。手持ちの青い塗料、ボトルを裏っ返すとだいたい白が沈んでるでしょ。

NAZCAのコバルトバイオレットは模型用塗料の並んだ店の中では抜群に鮮やかな青に見えます。NAZCAブランドは隠蔽力が高いので重宝するんですが、「バイオレット」の名のとおり、けっこう赤が混ざっていて紫に近い。そして今回青いパーツに塗ってみたら、思ったよりマイルドな発色。いわゆるコバルトブルーの目に沁みるような強力な発色を想像していると「そこまで鮮やかじゃないんだな」ということに驚かされます。もちろんイッパツで発色するので塗り心地は最高なんですが、その性能を担保するために白がけっこう混ざっているんだなぁということに気付かされます。

左がデスティニーガンダムSpec IIのパーツ色。右がそこに直接コバルトバイオレットを塗装したものです。「ハリウッドザコシショウによる誇張しすぎたガンダム・センチネルの青!」みたいな塗装にも憧れるんですが、やりすぎると黄色や赤がその鮮やかさに付いてこれず、チグハグな印象になってしまうこともしばしば。三色の調和を考えて調色されている……と考えると、これくらいがちょうどいい塩梅なのでしょう。

胸のフチに来る白いパーツも同系統の青に塗装して、胴体のまとまり感をブースト。写真で撮影するとさらに肉眼での印象と変わるし、やっぱり青は微妙なトーンの差が仕上がりに大きく影響する色です。同じくガイアノーツ系の塗料では「ウォーカーブルー(2)」や「オーラブルー」が混じり気の少ない色に見えますし、例えば同社の「純色シアン」を混ぜることでもチューニングできます(そのかわり隠蔽力がものすごく落ちるので注意!)。
ガンダムの赤/青/黄色をどう調和させるか……というテーマは、かなり奥深く、ゆえに面白い。そのときに起点になるのはやはり繊細な正確を持ったブルーにあります。そしてなるほど、プロモデラーの名を冠した塗料ってその「個性」を商品にしたものなんですね。みなさんも塗料のボトルの蓋の色に惑わされず、ぜひとも実際に塗って色の組み合わせを試行錯誤してください。そこに「これは!」と思うパターンを見出せれば、それだけであなたのガンダムは個性を獲得します。プラモデルを塗る理由って、つまりそういうことだと思うからさ。