

タミヤの最新プラモデル、「ドイツ機関銃チーム(大戦中期)」より、バイポッドに据え付けたMG42機関銃を撃つ《兵士2》の姿は、身体をギュッと縮こまらせ、右目でよく狙いを定めて撃っていることが一目瞭然。まとまり感と力の入り方が両立した造形コンセプトは同アイテムのなかに入っている《下士官》と共通するが、しかしポーズと火器が違えばそこに宿るアイディアも違ったものになる。
完成したらまず見ないであろう下側からこのポーズを覗き込むとそのマジックに気付かされる。顔を力いっぱいレシーバーに押し付けて照準をつけ、右手はトリガーに。曲げた左腕は自分の胸にぐっと押し当て、その手はストックをギュッと握りしめている。横倒しのカップケーキのように見えるのはドラムマガジンだ。

このフィギュアを組んでいていちばん目を引くのは右頬が思い切り凹んだ形状になっている顔のパーツだろう。レシーバーがここに食い込むように組み付けられることによって、「MG42と一体になって射撃する兵士」としての演技がいままでにない実在感をもって迫ってくる。照準を定める右目はわずかに開き、左目はほとんど閉じている……という、肉眼ではほとんどわからないほどこまかやな芸当も盛り込まれているのにも注目したい。

胸に押し付けた左腕もただ胴体のパーツの上に腕が乗っかるのではなく、腕のカタチに凹んだところにビタッと密着して貼り付けることでものすごい緊張感が生じている。右肩に押し当てたストック後端部も胴体側を凹ませることでフィット感が出る仕組みだ。
ボーッと組んでいても右腕、左腕、胴体、顔と4つの異なるパーツの所定の位置に機関銃がピッタリと収まるのは驚異的だ。大きさや厚みの違うそれぞれのパーツの収縮率をあらかじめ見越して、さらにユーザーの組み付けをうまく誘導するための位置合わせも考えた設計のなせる業である。

ここまででも組む楽しさ見る楽しさは100点満点だが、この兵士には心強い仲間がいる。レンガ造りの塀だ。タミヤが「銃を据えるレンガの塀」を作るのは2009年発売の「ソビエト歩兵 対戦車チームセット」以来のことだと思うが、レンガの小口が見える層と長手が見える層を交互に積み重ねている。

レンガの積み方だけでヨーロッパのどの国(あるいはどの地方)を示しているのかはカンペキに特定できないが、しかしプラスチックの表面に刻まれたレンガの表情ひとつからも、この兵士の置かれた状況をいろいろと想像できるのがプラモデルの面白いところだ。

機関銃と人間がみごとにひとつのカタマリとなり、それとは別に組み立てたレンガ塀。これらをそっと組み合わせてみると、バイポッドの脚はきっちりとレンガ塀の上に乗る。塀が高すぎて《兵士2》がのけぞってしまったり、機関銃が高すぎて浮いてしまうようなことはない。誰が組み立てても想定された情景がそこに現れ、モノの重さや力の入り具合までをも表現してしまう。この圧倒的な精度をさも当然のように提供し、ユーザーは疑問なく組み立て、味わえることの凄み。これこそが黙して語らぬタミヤの恐るべき”品質”なのだ。