


機関銃ってなんなんでしょうか? 英語で書くとマシンガンなわけですが、なんとなく鉄砲の形をしたものは大体マシンガンって呼んじゃいがち(「ザクマシンガン」とか)。しかし、機関銃にはちゃんと定義があります。
防衛省規格 火器用語(平成21年改正版)を見てみると、機関銃については「脚、銃架などを用いて、安定した連続射撃を行うもので、小銃に比ベ射程及び持続発射能力が勝る銃。軽機関銃及び重機関銃に分類される」とあります。なるほど。「何かしら支持する装置に据え付けて使う、普通の小銃よりもバリバリ連射できる射程の長い銃」というのが、防衛省における機関銃の定義のようです。
ということは、機関銃というのは銃だけでは成立しない武器ということになります。据え付ける装置を持っていかなくてはならないし、バリバリ連射するなら弾薬だってたくさん運ばなくてはいけません。一人で運用できるものではないなら、チームで協力して使わなくちゃいけない。そんなことを機関銃と自動小銃の区別も曖昧なガキンチョ(小学生の頃のおれですね)に教えてくれたキットが、タミヤの「ドイツ歩兵 機関銃チームセット」です。

第二次世界大戦中、ドイツ軍が主力として使った機関銃は、MG34とMG42という二種類の銃でした。これは「汎用機関銃」というもので、防衛省の定義によれば「二脚架、三脚架、銃架などが使用できる多目的用途の機関銃」ということになります。初めから「据え置きでしか使えません」とか「手に持って動きながら撃つの専用です」みたいに使い方が限定されておらず、陣地に据え置きで使ってよし、部隊の動きに合わせて移動しながら撃ってもよし、車両に乗せて使ってもよしという、Nintendo Switchみたいな機関銃ということですね。便利そうだ。




そんな「汎用機関銃」とはどういうものかが一箱で理解できるのが、「ドイツ歩兵 機関銃チームセット」の面白いところ。箱の中にはランナーが二枚。フィギュアと武器・装備が同じランナーに並んだ、70年代のタミヤのフィギュアキットらしいパーツ配置です。主役の機関銃は一箱の中に四丁をセット。さらにその周辺機器や整備用の道具が入った箱もパーツになっています。

で、その周辺機器の中には、なんか細いフレームみたいな部品が。これはラフェッテという機関銃用の三脚兼照準器でして、非常に凝った構造を持っているのが特徴。パーツ状態でも、なんかややこしそうな形なのがわかりますね。三脚がついているあたりは、汎用機関銃を題材にしたキットならではです。



組み立てるとこんな感じ。MG34という機関銃は大変重く、スリングで吊りながら抱えて撃つならまだしも、「立ったままちゃんと照準器を覗いて一人で撃つ」というのが大変難しい銃です。というわけで、立射の場合は前側に立ったもう一人が銃身を担ぐ形で発砲することがしばしばありました。この前側の人の鼓膜は無事なのか気になりますが、そんなことを気にしていられないのが戦場というものなのでしょう。


一方の伏せ撃ちは流石の安定感。横で寝転がっている弾薬手が、弾が引っかからず給弾されるようアシストしています。まあ、機関銃って重たいし、本来はこうやって使うものなんだよな……という説得力がありますね。




で、ある意味このキットのトロの部分と言えるのが、このラフェッテに搭載した機銃を操作してる二人。この軽く腰を浮かせて銃架を操作しているポーズの緊迫感といい、ラフェッテ自体の繊細な雰囲気といい、バッチリの仕上がりですね。後ろで双眼鏡を覗きながら観測している下士官の彼は、このラフェッテチームに添えると一番しっくりくる気がします。

3つの機関銃チームを並べてみれば、なるほどこれがドイツ軍の機関銃というものか……と理解できるはず。移動しながら立って撃つ、地面に伏せて二脚を使って撃つ、陣地にこもって三脚に据えて撃つという三つの使い道を一つのカテゴリーの機関銃で賄ってしまうから、「汎用」機関銃なわけですね。非常に効率的な考え方ですが、その割にはラフェッテの構造がやたら複雑だったりするあたり、いかにもドイツ的。組んで楽しく、さらに題材となった兵器やその運用について詳しくもなれるという、70年代MMのいいところを詰め込んだようなキットでした。