

タミヤが近年発売しているバイク模型は黒、銀、メッキ、透明を基本として、カウルの色(塗ってもらいたい場合は白)というパターンが多い。組むだけで実車のイメージにだいぶ近づく……という意味では極めて「ガンプラ的」だと思っていて、それでいながら実在するメカとしてのディテールに存在感があるから、「組むだけで得られる満足度」はとても高い。
ホンダの日常使いできるバイクとしては「1/12 モンキー125」が存在していたが、モンキーの場合は実車のタンクがツートンカラーなので「塗り分けたほうがホンモノっぽくなる」という印象は拭えない。そういう意味では、最新作である「1/12 ダックス125 リミテッド・エディション」の色分けは(実車のデザインも相まって)ほとんどカンペキと言っていい内容だ。

たとえばシルバーのパーツひとつとっても、ギラギラのベアメタルではなく粒子の細かいスムースな銀塗装の上にクリアーでコートしたような質感は塗装だとなかなか出しにくい。塗料に含まれる金属のフレークが大きくなればスケール感を損なうし、小さな粒子を平滑に吹けば表面の金属光沢は強くなりがち。そういう意味ではプラスチックで表現されたこのシルバーの質感こそが実物に忠実だと感じる。

近年ではメッキ調のシルバー塗料がさまざまなメーカーから発売されているが、曇りひとつなく鏡面反射する表面を作るのは塗料の性能的にもユーザーのスキル的にも簡単なことではない。メッキされたプラスチックパーツには、ユーザーが自力で到達できない価値がある(メッキ処理されたパーツは一般的なプラモデル用接着剤で貼れないので、説明書ではタミヤ多用途接着剤の仕様が指示されている。少量を塗ってキレイに貼るには練習が必要だし、乾燥時間もやや長いことを考えると、メッキパーツの接着には今後なにかしらのブレイクスルーがほしいなとも思う)。

まるで実物そのままに見えるシボ加工されたレザー調のシートは黒いプラスチックで再現されているが、これが軟質素材ではなく硬い樹脂でできているとはにわかに信じがたい。タミヤのスタッフによれば、金型表面を薬剤やサンドブラストで荒らして凹凸表現をしているのではなく、シボ加工に見えるような凹凸の3Dデータを作成して実際に金型に彫刻しているとのこと。パーツ側面の凹凸が大きくなると金型からパーツがはずれにくくなってしまうのだが、凹凸の深さや角度は生産性も考慮したギリギリのところを金型部のスタッフと話し合いながら決定していったというのだから恐れ入る。

青いメタリック、半艶の黒、決めの細かいシルバーとキラキラ輝くメッキ。そしてクリアーパーツとタイヤのゴムの質感がハーモニーとなって、ただ組むだけでこのDax125が姿を表す。もちろん細部には塗装によってもっと真に迫る表現を残した場所もあるにはあるが、タミヤ自身が無塗装状態のパーツを組み上げただけの写真を商品ページに掲載し「塗装をしなくても見ごたえ十分」と自信たっぷりに書いているあたりを見ると、それぞれの素材の質感選定は極めて積極的かつポジティブに行われているだろうことが窺える。
色分けに少々強いこだわりを見せたがゆえに神経質な接着箇所がいくつか散見されるものの、インターネットで多くの人々がつぶやいている「(キャラクタープラモに比べて)スケールモデルは難しいもの、塗装が必要なもの……」「私にもスケールモデルは作れるのだろうか?」という未体験ゆえの不安を取り払うにはもってこい。まさしく「刺し身で食べても本当に旨いプラモデル」がタミヤのDax125なのである。