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【レビュー】タミヤを超えるのはタミヤだけ/ドゥカティ スーパーレッジェーラV4 with RACING KITに込められた「狂気的コダワリ」とは!?

 タミヤの最新バイクプラモ、1/12 ドゥカティ スーパーレッジェーラV4 with RACING KITがだいぶヤバいです。実車は1195万円、生産台数500台という超プレミアムバイクなのですが、実物を買うと「レーシングキット」という箱がくっついてくる。公道を走るための保安部品を外して箱に入った排気管、クラッチカバーやフューエルキャップ、ブレーキレバー・プロテクションなどを取り付けるとサーキット走行ができるのです。2022年に発売されたタミヤのスーパーレッジェーラV4のバリエーションキットとしてレーシングキットを装着した状態の姿が製品化された、というのが今回のアイテム。

 そもそも2022年に発売されたタミヤ製スーパーレッジェーラV4がどれだけすごいキットなのかというのはnippperでも取り上げましたが、今回まとめて読めるようにnoteで再編集しておいたのでそちらを読んでください(ついでに有料マガジンorサポーターズクラブに加入してくれると本当に嬉しいです)。
 で、3年越しに発売された「with RACING KIT」のほうは保安部品などをひとまとめにしたランナーが削除され、レーシングキットを再現するパーツが収まったランナー1枚を追加。それだけならただの一部新規パーツの仕様替えですよねという感じですが、説明書を読んでいるとなんだか違和感がある。組み立て図の向きや手順が微妙にノーマル版と違うのです。

 全日本模型ホビーショーの会場にてタミヤのスタッフに訊いたところ、「ノーマル版で組み立てが難しいと感じた場所、位置関係が分かりづらかったところもあったので、今回はそこを改善した説明書にしています」とのこと。イマドキの説明書は3Dの設計データをベースに作っているわけですが、向きを決めてレンダリングして必要な線だけを抽出して色付けて配置して……って超めんどくさいんですよ!じゅうぶん組めるプラモデルであったにも関わらず、さらに組みやすくするために説明書を再製作するタミヤ、スゴすぎる。

 デカールもノーマル版とレーシングキット版でほとんど同じなんですが(そりゃ実質同じバイクですからね)、よく見るとアンダーカウルに貼るデカールに微妙な切れ込みが入っていたり、ハンドルのグリップに入る赤いアクセントなどが追加されていたりと微妙な変更があります。これも「パーツ形状に合わせやすくなるようアウトラインを微妙に変えたり、塗装が難しいと思われるところをデカールに置き換えるなど、実際に製作して気になったところに手を入れています」という回答が。タイヤもスリックに変更されたのでタイヤマークが省かれていますね。

 白いカウルパーツさえ塗ればかなり雰囲気よく仕上がるキットではあるのですが、保安部品がないぶんバイクとしてよりピュアな形状が楽しめる上に、ウインカーとかミラーといった「組み立ての終盤で神経を使うパーツ」をスキップして完成に至れる……という意味でさらに組み立て体験が向上しています。
 私的には「バイク模型作ったことない人」にも心の底からオススメしたい。特別なことをしなくてもビシーっと組み上がるし、無塗装でも、カウルだけ塗装でも、エンジンやブレーキに少し色を足すだけでも、あらゆるレベル感でそれぞれに「いいな」と思える仕上がりになってくれる傑作キットです。

 タミヤがすごいのは、もともと超絶良い出来のプラモデルをもとにバリエーションキットをサクッとリリースするのではなく、ユーザーに気づかれないほど細かいところをブラッシュアップし、さらなる確実な組み味を約束してくれるところ。しかも「ただでさえ高性能なバイクをサーキット走行可能な姿に仕上げる」という実車のユーザーにしか楽しめない体験をプラモデルで味わえるんですからね。やっぱりすごいプラモデルですよこれは。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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