

ファインモールドが海洋堂とタッグを組み、香川雅彦という天才原型師の手業をデジタルリマスターしてプラモデルにする「スタジオジブリ ヴィネットコレクション」の第二弾は『紅の豚』のフィオ。サボイアS.21試作戦闘飛行艇の改設計にいそしむフィオの姿がプラモデルになっています。「徹夜はするな、睡眠不足はいい仕事の敵だ。それに美容にも良くねぇ」というポルコの声が聞こえてくるぜ。

プラスチックパーツは白、ペールオレンジ、ブルー、ブラウンの4色。パーツ数は少なく感じられますが、完成すると意外に伸びやかな空間が立ち上がるのに驚かされます。香川造形の魅力である「水平垂直であるはずのオブジェクトにも極端にパースを付けてサイズ以上の広がりを感じさせる」という手腕が今作でも遺憾なく発揮されていて、有機物にも無機物にも躍動感が満載!

デカールは比較的貼りやすい箇所意外は予備も用意されていますが、徒手空拳で挑むには正直ちょっと難度高め。どうしても必要だと思われる「ドラフターに貼り付けられた図面」(そのアウトラインもパースが付いている!)は説明書にも印刷されているのでそちらを切って貼るのもヨシ。

説明書を見ていると「塗装とかデカール貼りとか、だいぶ大変そうだな……」という印象を受けます。プラモデルは同じものをまた買ってこれるのがいいところ。不安な人はまずパーツを貼ってカタチを楽しむだけでもOK。プラスチックパーツの色の組み合わせが少々淋しいかも、と思ったのですが、組み上がると離れ離れに位置する青いパーツが空間のなかで効果的な差し色となっていて、思ったより賑やかです。

木でできたところ、紙を丸めたところ、シワの寄った布……と、それぞれの質感もちゃんと表現されたパーツの造形は言うことなし。こういう造形をプラスチックパーツで楽しめるというだけで「プラモデルになってよかったね〜!」と言うべきアイテムで、「全塗装しなきゃ!」「合わせ目消さなきゃ!」なんて、ビビらなくてもいいんです。貼って、造形を楽しんで、色を塗りたくなったらこんどは少しずつ挑戦してみればいいだけの話。

ドラフターまわりのデカールは簡単そうだったのでサクッと貼って、あとはバリバリバリとパーツを組み立てて完成。海辺でひとり電話をしていたポルコに相棒が加わり、とってもいい景色が生まれました。ピンと張り詰めた静かな夜、根を詰めた設計作業の合間に訪れる一息。ホッとする瞬間を切り取っているにも関わらず、独特の造形センスによってオブジェクトたちが今にも動き出しそうな不安定な感覚は、このプラモデルシリーズならではの表現です。ぜひとも組んで、その絶妙なバランスを味わってください!そんじゃまた。