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ポルコ・ロッソの愛機がほしければ『原作版の後期型』を買ったほうがいい理由。

 『紅の豚』といえばあの赤い飛行艇、サボイアS.21。しかしここにはそれがふたつある。左がS.21初期型、右が”フォルゴーレ号・後期型”だ。あなたの風邪はどこから?私は宮崎駿の連載『飛行艇時代』から。

 ということで、よく見るとエンジンのカタチや主翼の大きさが違う両者の話。どっちが正しいとかじゃなくて、いわば”原作”にあたる『飛行艇時代』(『月刊モデルグラフィックス』連載のマンガ)に登場した機体と映画『紅の豚』に登場した機体の差異についてはファインモールドの「フォルゴーレ号・後期型」を買うと説明書にこれ以上ないほど詳細な解説が記されている。これを読むだけでも紅の豚オタクレベルが10くらいUPするので必読だ。

 原作にせよ映画にせよ「S.21が物語の中盤でエンジンと主翼を換装し、パワーアップする」という王道ストーリーなのだが、原作と映画で採用されたエンジンが違うし、エンジンの覆い(ナセル)のカタチや呼称も違う。小説版のガンダムがG-3になるのとTV版のガンダムがトリコロールのまましれっとマグネットコーティングで強化されている……という違いに似ている。似ているか?まあいいや、オレたちはこうエピソードが好きなの。

 で、なぜ今回「原作版後期型」を買ったかというと、じつはこのキットには「映画版後期型」のパーツも入っているということを知ったから。しかも「サボイアといえば映画版でしょ」という人気の不均衡からか、原作版後期型のほうが市場価格がべらぼうに安いのである。どっちにも組めて安いとか、お得すぎん?

 箱を開けるとエンジンナセルの入ったランナーが2枚。原作版後期型はロールスロイス・ケストレルの水冷V型12気筒(635馬力)を流線型のナセルに収め、前面に大型のラジエーターを装備している。劇場版後期型はフィアットAS.12の水冷V型12気筒(720馬力)を収め、全長は短いが排気管が露出していたりシリンダーブロックを避ける複雑なアウトラインのナセルが特徴だ。

 どっちも組むと、『飛行艇時代』と『紅の豚』のパラレルな世界が眼前に現れる。幸いパーツ同士の合わせは最高なので、主翼の上にポンと乗せればいつだってどちらの世界線にもトリップできるのだ。やっぱりおトクすぎるぞ、このプラモ。

 ファインモールドのプラモデルを褒めるときにもうひとつ大事なのが、塗装の手順が説明書のなかにちゃんと挟まることだ。組んでしまってから塗装できなくなったりデカールが貼りづらくなったりするのを防ぐため、ちゃんと組み立ての途中で「いま塗装しておけよ!」とアドバイスしてくれる。

 赤いところはプラスチックのまま。塗らずに組んでも明確に「赤い飛行艇」にはなるが、ほんの少しの工夫で各所をちまちま塗り分ければより劇中のイメージに近づける。ということでみなさん、サボイアがほしければ「原作版・後期型」がオススメ。これは居酒屋で友人に披露するといいネタかもしれません。そんじゃまた。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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