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ポルコ・ロッソのライバル、カーチスの水上戦闘機を組み立てる。

 ファインモールドから発売されている『紅の豚』登場機体のプラモデル。よくよく考えてみたらひとつも組んだことなかったんです。なぜって、原作漫画も映画も好きすぎて、いつか大人になってツヤツヤの飛行機がカンペキに作れるようになったら挑戦しようとか、本気で思っていたから。

 いやオレもうオトナじゃん。組んでみよう。組んで、「へぇ」って言って、また会いたくなったら会える。人気のあるプラモ、いつまでもスタンダードなプラモのいいところは、思い立ったときに買って好きに作れることですよ。何より安いんですよ。このプラモ。

 ランナーはざっくり2枚(+風防のクリアーパーツ)が入っていて、ツヤツヤのネイビーブルーと少しぶっきらぼうなグレー。金型は1999年製ですが、見たところバリもないし、表面は本当に美しい。グレーのランナーはほとんどがディスプレイスタンドとドリー(運搬用台車)のパーツなので、実質40パーツ足らずで組み上げることができます。

▲全8ページの説明書のじつに半分が機体解説。

 説明書の紙がびっくりするほど分厚い。その手応えを感じながら実在したカーチスR3Cの誕生と変遷を読んでいくと、宮崎駿という人の真面目さとユーモアがどこでクロスしているのかが見えてきます。現実と創作の両方を繋いで編集された解説の印象は他のどんなキャラクターモデルとも違うし、スケールモデルのそれとも違う。正直、「これを読むだけでも価値があるぞ!」と唸らされました。

 ツヤツヤのブルーに繊細なディテール。こういう佇まいが「ちょっと気軽に組むのはおっかないな……」と思わせる雰囲気なのかもしれないけど、今日はそのままスルスルと組んでしまおう。

▲パーツから少し離れたところをニッパーでカット。
▲余ったゲートをデザインナイフでコリコリ削って……
▲接着はすべてタミヤセメントの流し込みタイプ(速乾)を使用。パーツを合わせて、ちょっと流すだけ。
▲小さすぎるパーツはピンセットでハメ込みます。使った工具はこの4つだけ。
▲ドナルド・カーチスもしっかり付属しています。
▲スイスイと貼っていくと、こういうカタチが現れます。

 設定通りの色にしたければこれを再現したデカールも入っているのでそちらも使えますが、今回はプロペラと機首下面にくっついたラジエーターをシルバー、スピナー(プロペラの真ん中)を黄色、排気管をメタリックグレイで塗ったところで完成。おそらく、「ちょっと紅の豚の飛行機でも組んでみようか」と初めてプラモを手に取った人がササッと組むとこんな印象になるはずです(少なくとも、この調子の青を写真よりもキレイに塗れる自信は僕にはありません)。

 組み上がって驚くのは、1/72のプロペラ機としてはとてもこぢんまりとした印象であること。そしてパーツの精度は予想の10倍くらい高く、本当にピシッと、余計な手間や加工を必要とせずにまっすぐゴールへと向かって走れたことにもっと驚きました。おそらく、複葉機のプラモのなかでも世界トップクラスにピシッとカタチになり、みんなが知っている飛行機であることは間違いありません。

 サッと手に取って、スイと貼る。そうして出来たカタチを家のお気に入りの場所に置いてふと眺める。そんな遊び方ができるプラモのひとつとして、心からオススメできるキットだった……ということに気付くのに、ずいぶん時間がかかってしまいました。これから少し、同じような気分でいくつかのプラモと戯れ、そこで感じたことを書いていこうと思っています。

 みなさんも、ぜひ。

 

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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