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貼って眺めて超楽しい、ポルコ・ロッソのプラモデル。

 どっしりとしたポルコの体格。ほとんど前後に分割されてて、ドカーンと貼ればすぐに形になりそうだってわかります。パーツを増やして細かく分けて精密に表現するプラモデルもあれば、こんなふうにひとつのパーツが大きな意味を持っているものもある。ゴールがすぐ近くに見えるプラモは、なんだか組むのを我慢できない魅力があります。いても立ってもいらない、ってやつ。貼るだけで、楽しい。だから、貼ってみよう。接着剤が初めてでも、絶対にめっちゃ楽しいぞ。

 パーツをニッパーで切り離して、流し込みタイプの接着剤で貼る。ただそれだけで4色から構成されたポルコ・ロッソがイヤイヤ電話を取った瞬間の彫刻に変貌。脚を組んでドカーっと机の上に投げ出した横柄な態度、電話機をぶら下げる左手の手首の返った造形が本当に素晴らしいね!パーツの合わせは本当に良好で、流し込み接着剤の速乾タイプをちょんちょん置くだけで必ず組み上がります。

 木でできたビーチチェアに座るポルコ。木枠の部分は木目が入っていて雰囲気満点。説明書ではチェアを単体で組むように指示されていますが、台座にハメた状態で仮組みして接合部に流し込みタイプの接着剤をチョンと流したほうが歪まずに組めそう。これは机も同じです。そうそう、A7の布部分とB2、B9の枠部分には明確な取り付け位置のきっかけがないのがちょっと気になりました。確かにピシッと貼れる設計ではありますが、A7パーツの側面にちょっとした切り欠き、B2、B9にちょっとした突起があったら親切だったな、と思います。

 ポルコがいない状態の舞台を上から見たところ。机、イス、傘がどれも歪んでいます。完成してから眺めたときに自然な遠近感が出るよう、奥に向かってギュッと絞った形に変形してパースを強調しているんですよね。台座の丸みと、それぞれの小物たちの置き場所。左にはみ出ている不定形な部分は波。手前にはみ出る布と本。楕円の中に登場する事物のすべてを収めるのではなく、僕らの世界にオブジェクトがはみ出ることで、世界の広がりを演出しているんですね。うますぎる。ジオラマ(こういう小さくて要素が詰め込まれたものは「ヴィネット」と呼ぶとオシャレです)のお手本みたい。これを覚えておくと、他のプラモを台座に乗せるときにも面白い構成ができるようになるぞ!

 ポルコをイスに乗せたら完成。塗らなくていいの?組んじゃったら塗れなくない?と思う向きもありましょうが、まずこの状態でもぜーんぜんかわいいと思います。あれしなきゃ、これしなきゃ……でプラモをなかなか始められない人もいるみたいだけど、まずはこういういいプラモをピタッと貼って、「おー、カタチになった!」という喜びを味わってください。大丈夫、この状態から自分好みに味をつけることもできます。まずはひとつめのゴール、「貼って眺めて超楽しい」をどうぞ。そんじゃ、次は何をしましょうか!

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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