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戦車模型のナウな手法「部分分割履帯」がサンドランドを本気で駆け抜ける!

 バンダイスピリッツの最新戦車模型こと「サンドランド国王軍戦車隊104号車」は、架空のキャラクターモデルでありながら実在する戦車模型の手法を取り入れているので、上の写真のようなナウいパーツ分割を観察できます。これがめっちゃいいという話です。

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 履帯(=キャタピラ)といえば柔らかい素材でベルト状に作られたものをぐるりと巻くか、一枚一枚分割された履板(「りばん」と読みます)をピンなどで繋ぐか……というのがかつての戦車模型における「あたりまえ」だったのですが、最近では高度な設計手法と成形精度の向上によって「部分ごとに一体でつながった状態の履板を貼っていくとすごくリアルな履帯ができる」という方法がトレンドです。

 その前に転輪(履板の上を走る車輪だと思ってください)ですが、こんなかんじで9つの丸いパーツが一体になってパーツ化されています。ひとつひとつを取り付けていくのもそんなに苦ではないかもしれませんが、ゲート(ランナーとパーツを繋いでいるところ)を4箇所切って、車体にブスッと差し込めば足回りの準備が完了する、というのは嬉しい配慮。実在する戦車の模型でもこうした試みは散見されます。

 履板は地面に接するところがまっすぐ、それ以外のところは重力を感じさせるカーブを描いて1〜4枚単位で造形されていて、これも転輪に設けられた細長いスキマにはめ込むことで接着剤を使わずとも所定の位置にバシーっと固定されます。

 接着剤を使わないからエラいとか、リアルだからすごい、みたいな話をするつもりはありません。「ああ、この模型を開発したチームは戦車模型のことを知っている(あるいはよく勉強している)」ということが伝わってくることに、胸がいっぱいになるのです。ワクワクする組み立てと、履帯のリアルな振る舞いを両立させる方法をキャラクターモデルに輸入して、ちゃんと咀嚼して「バンダイスピリッツならでは」の模型に昇華していることにニヤニヤしちゃうのです。

 履帯を一周組み付けた状態で眺めると、地面から前後の車輪(どちらかが起動輪で、どちらかがアイドラーホイールなのでしょう)に向かって履帯が自分の重みでたるみながら立ち上がっていく様子がゆるやかなカーブで演出されています。上部の履板がうねうねと波打って見えるのは、リターンローラーと呼ばれる小さな転輪で支えられている部分を起点にこれまた重量が履板をたるませている様子を表現しているから。

 ここまで組んで「転輪をすべて一体のパーツにするためにつながっているところが丸見えなのはどうもなぁ」と一瞬思ったのですが、次の工程を見て納得。サイドスカートを装着すると、転輪をひとつなぎにしている「リアルじゃないところ」はまったく見えなくなるのです。

 戦車模型を組んだことがない人も手にする可能性があるサンドランドの戦車。鳥山明先生が描いた可愛くともリアリティを感じさせるディテールへの目配せに、きちんと実在戦車の模型におけるコードを持ち込むことで応じたバンダイスピリッツ。ああ、なんという幸せな関係を見ているんだろう……と、ただ足回りを組んだだけでも感動してしまう、そんなプラモデルなのです。

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からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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