
M4シャーマンと呼ばれる中戦車は、生産国アメリカに限らず、連合国で広く使用された戦車です。わずか3年で5万両近い生産数で、エンジンなどの方式の違い、砲塔の違いなどの基本的な違いから、生産時期による細かい違いまで多くのバリエーションがあります。今回紹介するM4A3E8はそのなかでも第二次世界大戦終盤に登場したいわばM4中戦車の完成形です。


強力な砲を備え大きく防御力も向上した砲塔、車体。それを支える幅広の履帯、エンジンももちろん強化されています。タミヤのそれまでMMシリーズで発売してきたM4とまた違ったシルエットであり、新しいパーツが満載となっています。

またタミヤの優れたところは、その表面に施された実感あふれるモールドです。鋳物肌のうねる表現、ゆらぎのない鋼板のまっすぐな面、そしてそれをつなぐ溶接の表現。パーツをじっくりと見る楽しさに、思わず手が止まります。

フィギュアは車長が付属。これまた拡大して見て驚くキリっとした表情、彫りの良さ。これがわずか1cmに満たないパーツなんです。

強化された足周りはさすがにパーツ数が多めで、なんとも言えないところですが、それでもだいぶ整理されて作りやすく仕上がっています。

組み立てやすさに寄与する部分として、砲身が一体になっていることも挙げられるでしょう。マズルブレーキはさすがに別で組み立てますが、それを差し込むだけで立派な砲身、防盾につければ砲周りは完成です。

履帯は軟質でベルト式なので、白い蓋のタミヤセメントで接着すれば一発で完成です。また軟質だけれどもエッジの立ったシャープさと、かなり薄い履板の仕上がりにも注目してください。

面白いのは車体後部のディフレクターです。エンジンの排気を直接出すとホコリなどが舞って被発見につながるので、排気を散らすための装置のようですが、カーブした板を何枚も重ねて作ったようなカタチになっています。我々も模型でそのカーブした板を重ねて作ります。

完成したディフレクターは実車さながらに引き込んで格納ができるんです。板を支える縦列の部分が真っ直ぐじゃないところ、実物の写真もこんな感じで、行き届いた取材とその再現度が面白いところ。

足周りは転輪の数が倍になり、バネが縦置きで直接受けていたところを横置きにして、ダンパーもつけてよりサスペンションとしての役割も強化、リターンローラーも独立して……と複雑なんだけれどもシンプルにまとめたのがいかにもアメリカらしいと感じるところです。それを模型用にシンプルにしたうえで組付け間違いがないようにパーツ同士の形状がうまく調整されているところがさすがタミヤ!

車長のアニキがすごいのです。ハッチから身を乗り出した上半身が作られているのですが、パーツをぴったり合うところで接着していけばマイクを握る位置も決まる精度の良さ。

戦車に合わせるとこの身を屈めてじっと前を見つめる姿。単体で組んだときと印象が変わり、かなり迫真の表情、ポーズ付けに感じますよね。今まさに弾が飛び交うなかで、リスクをとってハッチから身を出している。そんなシチュエーションが見えてきます。

切り立った正面装甲で、砲塔も拡大され、足周りも幅広になったM4A3E8。M4初期型から比べればもはや別物の姿です。ひとつひとつの違いを丹念にパーツ化して、しっかり組みやすいプラモデルにしたタミヤのプラモデル力がすごい。

パワーアップしたシャーマン戦車として、完成形として挙げられることも多く、そして人気も高いこのイージーエイト。戦車も完成形ならば、タミヤのこのプラモデルも、組みやすさと再現度がベストバランスで、シャーマン戦車プラモデルの完成型といえるでしょう! ぜひ作ってください!