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「おかえりなさい」を誰かに伝えたくなるプラモデル/ファインモールド 九五式軽戦車[ハ号]後期型[4335号車/2022年12月帰還]

▲「どこの国の戦車だ?」「富士山があるから日本!」「正解!!」

 ひらがなは読めても漢字は読めない息子にプラモの箱を見せて、ちょっとクイズを出してみた。その写真の景色だけで彼は「日本の戦車」ということを即座に当てた。そして僕は続ける。
 「この戦車がここにいるのも、この写真のように日本の土や草をキャタピラに思う存分つけられるのも奇跡のようなことなんだよ」
 「え? お父さん、何をいっているかわからないよ。後ろの車かっこいい」

▲え? そっち? でもいい目をしているぞ。くろがね四起もファインモールドから発売されているから、今度一緒に作ろう

 「お父さんの部屋に飾ってある戦車みたいに大砲が大きくないんだね」、子供は正直だ。でもこのプラモはそんな子供にも、この戦車が日本に帰ってくるまでのストーリーを伝えられる。

▲プラモと一緒に車両解説、この車両が日本に帰ってくるまでのプロジェクトの全貌、そして余すところなく撮影されたハ号のディテール写真が掲載された冊子が付属する

 僕は子供がわかるように、この冊子を自分なりに要約してお話ししてみた。日本は昔、アメリカや世界と戦ったこと、その時に使われた戦車であること、この戦車が戦後一度日本に引き上げられ日本で展示されていたけど色々あってイギリスの方に売却されたこと、そしてそれを再度日本に戻すために多くの人がとても頑張ったこと……小さな戦車にすごい物語が詰まっているんだよって。そしてこのプラモはそういった人の思いや、この戦車の歴史が詰まった玉手箱みたいなものなんだ。

▲細部写真やイラストは、息子が図鑑を見る時のように、彼の目を輝かせた。こういうものを見る楽しさは世代を越えるのだろう

 「じゃあ、この戦車は“おかえりなさい号”だ」。その通り。その言葉が、この戦車・このプラモの意味であると思う。箱を開けると美しいパーツと、日本の戦車の物語がぎゅ〜っと詰まっている。その中を知れば、あなたも誰かにこの物語を伝えたくなるはずだ。戦争で戦い、そして今ピンピンの状態でレストアされて、ここ日本に帰還を果たした奇跡。その奇跡をまとめたプラモを手に取り、誰かとお話しする。そうやって僕たちの国にあった大切なものが伝わっていくのって、とても素敵なことだと思う。

▲息子が今夢中なSwitchのお側に飾っちゃうのだ!
フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

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