最近はジェット戦闘機のプラモなども作っていますが、ファインモールドといえばやっぱり日本軍。ちょっとした戦車兵のキットにも、そのこだわりはみっちり詰まっています。
なんとなく全員似たようなカラシ色の服を着てるなあ、みたいな印象の日本陸軍ですが、当たり前ながら各種の兵科や任務に合わせた装備品を支給していました。戦車兵もそういった兵科のひとつで、専用の戦車帽(夏用と冬用、さらに内側のボアが分厚い防寒用がありました)やゴーグルといったヘッドギアが支給されていました。
それ以外の軍衣は基本的に歩兵と共通なんですが、寒い場所では軍衣の上から着るオーバーオール型の防寒作業衣や、フェルト製の手袋や半長靴を着ることも。なんせ超寒い満州の平原でソ連軍と戦う想定だったんで、日本軍は防寒装備に関してはそれなりにバラエティがあります。
で、ファインモールドの「帝国陸軍戦車兵セット2」は、そういうモコモコに着膨れてないほうの日本軍戦車兵のキット(モコモコの戦車兵はひとつ前の「帝国陸軍戦車兵セット」に入ってます)。箱を見ると、何やらダラッと座った作業服姿のおじさん二人と、日本刀を持ったちょっと雰囲気が違うおじさん二人がいますね。全員ちょっと頭がでかくて、昔の日本人っぽい体型。親近感湧くな〜。
ランナーを見ると、拳銃用のホルスターや騎兵用弾薬盒といった戦車兵ならではのアイテムが。拳銃の他、日本軍の戦車には車外戦闘用火器として三八式騎兵銃などが配備されることもあったそうで、弾薬盒はそのための装備でした。戦車兵にも銃剣を持たせるあたり、いかにも日本軍ですね。
というわけで、組み立てるとこの感じ。兵隊のおじさん二人は腰掛けたリラックスムードのポージング。日本軍の戦車兵用作業衣は左胸に大きなポケットが付いているのが特徴で、この二人の服もそうなっています。本来ならば上までボタンをとめて着用するものではあるんですが、一番上のボタンは外しているあたりからいかにも休憩中という雰囲気が漂っております。
対して将校の方はもうちょっとピリッとしたムード。戦車兵らしく戦車帽をキリリと頭、軍刀を手に何か指示を出しております。九八式軍衣はそれまでの詰襟型軍服を刷新して折襟になったのが特徴で、階級章はこの折襟のところについています。この階級章がビシッと塗り分けられていると精密な感じがしてカッコいいわけですが、細かい作業が苦手でも大丈夫なようにファインモールドは汎用の日本陸軍階級章デカールをつけてくれております。こんな細かいところに星描いたりするの、無理だもんね……。
というわけで、「帝国陸軍戦車兵セット2」でした。リラックスムードの戦車兵は、どんな日本軍戦車に合わせてもヨシ! 広く使われた作業衣なので、合わせる戦車を選びません。また、きっちりと軍服を着こなした戦車兵の将校も、使い所を選ばない便利そうなフィギュアとなっております。日本戦車のキットを買うなら、ぜひ一緒に組み立ててあげたいフィギュアでした
ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。