
国外で作られたものが簡単に手に入る今日この頃。だからこそ「日本製」や「国産」という言葉は、人々を引き付ける魅力ある言葉になっています。今回は数あるプラモデルの中から、「初の国産」というオンリーワンな言葉を冠する車両キットと出会うことが出来ました。戦後、自衛隊が発足して間もなく開発を始めた車両が本キットのモチーフである「60式自走106㎜無反動砲」です。

はじめにお伝えしておきますと、実車を作った技術者と、プラモメーカーであるファインモールドの情熱が、これでもかと味わえるキットです。組む前にまずパーツを眺めると、その表面の表情に驚きます。波打つ溶接跡やボコボコとした鋳造表現、車両前面部のフラットな部分にさえも、よく見ると金属の表現を見て取ることができます(繊細なディテールゆえに、初見時はホコリがついているのかと大変失礼な勘違いをしました))。

スタートはインテリア。次の組み立て作業は足回りのステージに移ります。履帯や転輪など、ここは細かく分割されており、その物量に一瞬、怯んでしまいます。が、ここはむしろ本キットのキモ。なんたってこの自走無反動砲は「戦後初の国産履帯車両」なのです。当時の技術者たちが心血を注いだ履帯に情熱を感じながら組み立てましょう。パーツ処理に時間はかかりますが、ファインモールドの十八番である特濃実物解説を読み、当時の経緯や関係者の情熱を感じるのがオススメです。

足回りが終わると、次は戦闘車両にとっての花形部分。主兵装である無反動砲の組み立てに移っていきます。車体上部も丁寧なパーツ分割で、このレバーはここ、このハンドルはここ。その一つ一つを確認して取り付けていく作業が続きます。細かなパーツの連続ですので、一気に走り抜けようとすると息切れ必至。ここは休憩をはさみつつ、時間をかけてゆっくりと進めていく方がよいでしょう。接着する一つずつの部品の働きを想像しながら組んでいけば、車両は圧倒的な解像度で形になっていきます。

完成すると、手のひらに収まるコンパクトさ。同スケールの戦車などの大きさを知っていると、このサイズにも日本に合わせて調整された「国産」を感じますね。そういった言葉にできない感覚をダイレクトに味わえるのは、自らで手を動かすプラモデルだからこそでしょう。

このキットからは「戦後初の国産履帯車両をつくるんだ!」という技術者たちの情熱。そして「その情熱を形にして届けたい!」というメーカーからの情熱を感じることが出来ました。解説書やパーツの彫刻、分割を通して二重の情熱を受け取ることが出来るこのプラモデル。皆様もこの熱量を、目から、指から、存分に味わってみてください!それではひと足お先に、ごちそうさまでした。