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ずっとそのままのオレンジでいて。/アリイ 九三式中間練習機

▲箱を開けた瞬間そのまぶしさにすべてを悟ります。

 今日もまたプラモを買ってきました。箱を開けます。そしてキットから言われます。
 「色、塗らなくてもいいよ」

▲パッケージアートそっくりな成型色が「これでいいじゃん」という気持ちにさせてくれます

 アリイ(現・マイクロエース)の1/72九三式中間練習機、通称「赤とんぼ」はもともとLSから1973年に発売されたキットで今年ちょうど発売50年目になります。実機は1934年に初飛行した日本海軍の中間練習機(初歩練習機と実用機の間の練習をする飛行機)で、日本海軍航空隊の大体の搭乗員たちがこの機体で練習したこと、そして戦争末期には特攻機としても使われたことで有名です。そんなことを考えながらいつもどおり「何色に塗ろうかな」と考えながら箱を開けたら色塗らなくてもいいよと言われました。

▲古いキットですが、上品な羽布やステッチのモールドなど、見どころは多いです
▲練習機なので搭乗員も二人ぶん付属。引きつった顔から緊張感が伝わってきます

 プラモからこんなメッセージを受け取ったのは初めてでした。同じスケールモデルでも、自動車や旅客機モデルのように成型色でできるだけ実物イメージをトレースしている事もあれば、そうではないこともしばしば。とくに戦車・戦闘機・軍用艦といったミリタリーモデルは国内外ともに塗装前提であることが多いのではないでしょうか。

▲塗装前提で成型されているキットは「好きな色に塗ってくれ」というメッセージをうけとります。

 私もその前提を共有していて、なんなら「模型を作るのは好きな色で塗りたいからだ!」という側面すらありました。塗装は模型の楽しみの醍醐味の一部に間違いはありませんが、結果的に楽しみ方を固定化していた部分もあったのかもしれません。

 そう感じるのはここ数年の仕上げの多様化によって潮流が変わったことを感じたのと、nippperの記事でも戦車を成型色仕上げした作品が取り上げられて興味を持つようになったからです。

▲貼り合わせは胴体だけで、うまく接着すれば接合線が目立たなくなるのはいいですね

 そんな折です。この赤とんぼに出会ったのは。
 「赤とんぼはこの色だ!」というメーカーの明確な意志を強く感じたので、成型色仕上げに挑戦することにしました。慎重に流し込み接着剤で接着し、タイヤやカウリングなど部分的に筆塗りしてデカールを貼って完成です。

 おお、なかなかいいじゃないか。本当にいい色なので梅雨の合間を縫って野外撮影にチャレンジします。50年前のキットだけど、これからもずっとそのままのオレンジでいて、買った人を驚かせ続けてほしいと思うのでした。

Branz01

静岡県出身・大阪府在住の1985年生まれ。本業はマシーンの研究開発で模型は心の栄養です。

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