タミヤを信じて、塗らずに完成!/戦車模型の楽しいところを凝縮した「成型色仕上げ」の話

▲タミヤの戦車模型、1/35スケールミリタリーミニチュアシリーズの最新作として発売した「ソビエト重戦車 KV-1 1941年型 初期生産車」。このプラスチックの色を信じて、”汚し”だけで完成させます

 タミヤの戦車模型のプラスチックには、その車両をイメージした色がついています。僕はいつかこの成型色と呼ばれるプラスチックの色を活かして戦車模型を完成させてみたいと思っていました。どういうことかと言いますと、このプラスチックのグリーンの上に自分好みのグリーンの塗料を塗ったりぜずに、履帯や機銃などの部分塗装と、汚し塗装と言った仕上げ工程だけで仕上げてみる方法です。模型の世界では「成型色仕上げ」と呼ばれる方法で、ガンダムのプラモデルのような組み立てただけでカラーリングがしっかりと再現されている模型などではよく楽しまれている方法です。今回ご紹介するソビエト戦車KV-1は、ほぼロシアングリーン1色。絶好の機会がやってきました!戦車模型の成型色仕上げに初挑戦してみます。

▲イギリスのザ・タンクミュージアムにある KV-1の実車はこちらでご紹介しています

■まずは足元を狙え!!

 まずは速攻で履帯を塗ります。ここはタミヤアクリルミニのダークアイアンの出番です!

▲履帯色と銘打ったカラー。タミヤアクリルを使うときは専用のアクリル溶剤も準備。塗料を薄めたり、筆を洗ったり大活躍!
▲平筆で、どんどん塗ってしまいましょう。転輪に付いたり、本体に塗料がついても、爪で引っ掻けば剥がせるので気にしないで塗って行こうぜ!

▲履帯を塗り終えたら、GSIクレオスから発売している汚し塗料の定番「Mr.ウェザリングカラー」を準備。こちらも専用うすめ液があります
▲ウェザリングカラーのサンディウォッシュを足周り全体にじゃんじゃん塗ります
▲うすめ液を含ませた綿棒で、表面を拭っていきます。泥や土が落ちそうな場所をイメージして拭き取るっす!これで溝に入り込んだ泥や砂が表現できました
▲次は最強コンビ「ウェーブ 使いきりタイプ筆」と「GSIクレオス Mr.ウェザリングペースト」の登場だ!
▲まずはマッドホワイトを塗る!これが足周りに付いた乾いた泥になります
▲次はマッドブラウン 。付着してまだ乾いてない新しめの泥になります
▲乾いたら硬めの筆で余分な泥を落します。出っ張っているパーツの上には泥などが乗りそうなので、そういう部分に泥が残るようにします
▲成型色の上からウェザリングカラーとペーストだけでこの仕上がり。これは行ける!

■車体を汚せ!

 足周りがうまくいったので、がぜん自信が出てきました。どんどんいきますよ。

▲足周りと同じように、サンディウォッシュを車両のディテールに流します
▲ディテール部分にサンディウォッシュが残るように、専用うすめ液を含ませた筆で余分なサンディウォッシュを拭います
▲拭き取り作業をするとうっすらとサンディウォッシュが全体を覆います。これにより埃を纏ったような車体になります。神経質になって完全に拭き取らなくて良いです
▲この状態で違う色のウェザリングカラーを使用すると、サンディウォッシュが消えて今までの作業がパーになってしまいます。そこでつや消しスプレーでコート。これで安心です
▲車体全体にMr.ウェザリングカラーのフェイスグリーンとグランドブラウンを混ぜたものを薄く塗り広げます。乾いたら、サンディウォッシュの時のように、専用うすめ液を含ませた筆や綿棒で余分な箇所を拭き取ります
▲表面の汚し塗料が乾いたら、パーツの角に明るい色をのせてディテールを強調してみようと思います。エナメル塗料のパフを筆にとり、ペーパータオルで筆先がカサカサになるまで拭います
▲パーツのエッジ部分を狙って筆先を擦り付けていきます。これは「ドライブラシ」というテクです。ディテールが浮き上がってきます
▲ドライブラシで使用したパフを家庭用スポンジをちぎったものに含ませて、スタンプ。すると細かい傷が簡単にできます。これを傷がつきそうな所にぽんぽんして行けば、車体は完成!
▲砲塔にはデカールがあります。汚す前に貼って、乾いたら車体と同じ汚し作業を砲塔にもしました

■砲塔と車体を合体させれば……

▲完成!!!フィギュアは全塗装しました。顔はあの「染め塗り」です

 リアルに本日6月21日(日)の午前9時から塗装をスタートし、午後3時には完成! タミヤの成型色と最近のウェザリング用塗料があったからこそできた仕上げです。そしてプラスチックに色が付いていれば模型の仕上げ方にもより幅が出るとあらためて感じた次第です。グレーの成型色を塗るより、色が付いているものをグレーにする方が容易ですもんね。好みはあるかも知れませんが、既に発売されている模型の成型色を変えて発売するだけで、ちょっと世界は広がと思います。このKV-1を完成させて、僕はそう確信しました。そしてすごい楽しい休日を過ごすことができたよ!!

■タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ ソビエト重戦車 KV-1 1941年型 初期生産車 本体価格4300円

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フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。月刊ホビージャパンで12年間雑誌編集&広告営業として勤務。ホビージャパンで様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。「ホビージャパンnext」、「ホビージャパンエクストラ」、「ミリタリーモデリングマニュアル」、「製作の教科書シリーズ」などを企画・編集。