プラモデルのハコから飛び出してくる色彩は、初めて買ったチケットのように君を誘う

 プラモのハコを開けられるお店、減ってますよね。通販で買ったら中身がどうなっているかなんて届くまで分からない。何が入っているのか分からない商品というのはなかなかすごいです。チョコレートを買ってきたら中身はチョコレートでしょうし、ホワイトチョコかビターチョコかくらいのことはハコに書いてあります。

 どっこい、プラモは何色のプラスチックが入っているかわからない。真っ赤なフェラーリがハコに描いてあるのにフタを開けたら白いボディ、濃紺のコルセアがハコに描いてあるのにフタを開けたらグレーの翼……。「塗るから関係ないもんね」という人は強いですが、開けたときのテンション、塗らずに作る楽しさもプラモの大事な体験のひとつだと思います。

 このポルシェも8年ほどまえに発売されて、「ああ、かっこいいなぁ」と思ったものですが、今回その姿を見かけたお店はハコに封がされていませんでした。「そういえばポルシェって組んだことない。このオレンジは素敵だし、一度はサクッと完成させてみたいな」なんて思いながら、ハコを開けてみたのです。

 誇張なしで、「あっ」と小さな声を出してしまいました。目に眩しいオレンジのボディとシャーシのパーツ。もう一枚のワクは黒いプラスチックで、さらにシルバーメッキのホイールやエッチングパーツ(極薄の金属製パーツ)も入っています。この時点でこのプラモが完成しそうな予感がグンと急上昇。そそくさとレジでお会計をして、家に帰りました。

 ツヤツヤのオレンジ。オレはこれよりキレイに塗れるか……?と怯んだら、そのままデカールを貼って完成させられるのが、成型色(=プラスチックの色)の魔力です。もちろんオレンジのスプレー(これも念の為買っておきました)を吹いたり、まったく違う色に塗り重ねる未来もハコには入っています。ただ、大事なのはハコを開けたときにパーティーが始まるような、目に鮮やかな色彩があるかどうか。

 もしみなさんがこれまでに買ったプラモで、クルマのボディがバキッとナイスな色で成形されているものがあったら、ぜひそれをたくさんの人に見せてあげてください。案外それは大事な知識であり、イマイチ共有されていない事実。仮に「もう知ってたよ」という人が現れてもビビらなくてOKです。「そんなら組み立ててみようかな」と思う人のためにプラモデルに込められたメッセージを、もっともっとたくさんの人に知ってもらいたいから。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。