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飛行機模型の疾走感はアイディアの連鎖とともに/マイクロエースの赤とんぼが飛んだ日

 年に一度、正月の帰省時には実家のある駅前の家電量販店でプラモデルを買うことにしている。その年は、手頃な値段で手軽に組めそうという理由でマイクロエースの九三式水上中間練習機(通称・赤とんぼ)を手に取った。そんな折、Xで「ランナー(プラモデルのパーツがくっついているワク)から切り離さずに飛行機模型を作る」という投稿を見かけた。本当にこんなことができるのだろうか。モノは試しだ。挑戦をするのにちょうどいいキットを持っていないか……と物色してみる。うん、この赤とんぼはよさそうな気がする。

 やってみると、これが思っていたより難しい。プラモデルというよりパズルに近い。できるだけランナーをカットせずに組み立てたいのだが、説明書にある切り離せという指示に逆らって組み立てるのだからどうしてもそのままでは形にならない。ニッパーで慎重にパチン、パチンと必要最小限のランナーをカットし、次の一手のピースを切り出してゆく。

 試行錯誤の末に出来上がった様を見ていると不思議な感覚が湧き上がる。普通に作ったときより「飛んでる感」が増してないかこれ? 飛行機は、ピッチ/ロール/ヨーという3つの回転軸をもって機動する。それがプラモデルとなると、機体を撮影するカメラ側のアングルで機体の傾きを演出するしかないため、実際に飛んでいるように見せるにはそれなりの腕前がいるように思う。それがこの組み方だと、むしろ飛行機と一体化したランナーのおかげで、この3軸の動きがより直感的に見せられる!

 戦中若い訓練生たちを乗せた赤とんぼがどれくらい自由に空を飛び回っていたのか史実の赤とんぼについて少し調べてみた。Wikipediaによると赤とんぼの生産数は陸上機・水上機合わせて5,770機。大戦末期にはその8割に当たる4,450機が特攻機に改修されたらしい。ふむ、わたしの手にある赤とんぼはこんなに自由に飛んでいるのに、あまりに不憫な最後じゃないか。せめて令和の時代では自由に飛んでもらおう。非武装だった練習機がその性能の限り飛ぶとなると、その舞台はレースしかない。
 航空機によるレースはエアレースと呼ばれ、空のF1とも言われている。出場するのはエアレーサーと呼ばれるプロペラ機で、F1カーと同じくスポンサー広告で覆われる。そういえば以前ラジコン用に買ってきた、F1カーのスポンサーデカールがあったはずだ。機体色も思い切って赤から青に一新しよう。

 プラモデルは本当に自由だ。赤とんぼがエアレーサーに変わり、ランナーを付けたまま組み立てるという新しい遊び方がまた新しい遊びにつながってゆく。興味の赴くままに手に取ったがキットが、「やってみたい」と「やってみた」を繰り返すことで、一つのアイデアが次のアイデアへ連鎖してゆく。プラモデルをやったことがある人もない人も、是非一度、このアイデアの扉が次々開いてゆく面白さを体験してみてほしいと思う。

tomのプロフィール

tom

1975年生まれ。銀座で昼の商売やってます。説明書どおりに作れません。

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