

F1で最も美しいマシンは? と聞かれたら、もちろん人によって、時代によって回答が違うでしょう。しかし多くのファンに高く評価され、史上最も美しいマシンと言われるF1カーがこのロータス79です。

しかし意外なことに、プラモデルとしての発売は2010年までありませんでした。それは複雑な事情なのですが、結果的にタミヤ、ハセガワと2つの会社から1/20スケールで現代的なプラモデルとして78年のF1マシンが手に入る、というF1ファンにとってはこのうえないお祭りが起きたのでした。

雰囲気の素晴らしいパッケージイラストですよ! ロータス79としては、意外なアングルのパッケージです。バリバリ活躍したというようなシーンより、我々がミュージアムで出会うF1マシンのような佇まいのアングル。

F1マシンの顔ともいうべきノーズ。コクピット前までゆるやかに上がっていくカーブと、タイヤにつながるサスペンションの根元をカバーするふくらみ、このふたつがきれいに融合しています。光の入り方もまたキレイで、この曲線の良さを教えてくれます。

F1における革新、ウイングカー。車体の後部に向かって底面が跳ね上がり、車体全体の空力で地面にグリップするシステム。初の実装は前車ロータス78でしたが、それを洗練させて完成形に引き上げたのがロータス79です。現在のF1カーも車体の底部がこのテクノロジーを使っています。

長きにわたりF1の心臓部を担ったDFVエンジンとヒューラントのギアボックス。このセットを買って、あとは車体を作ればF1に参戦できた、そんな時代があったんです。なんとタミヤは1/20 F1がはじまった当初のランナーをそのまま採用しました。

1977の刻印……! このランナー、タミヤが手がける「1/20 F1」でも多数のマシンで採用され、F1ブームもあり、他社へと出稼ぎにいったこともありと、おそらくすごい量の生産がされたと思われます。現在でもこのように採用されているのがすごいですね。じつはホイールもロータス78のものと同じで、F1だけでなくF1プラモデルの時代とつながりを感じる部分です。

エンジンやギアボックスは1977年製でも、2010年設計のサスペンションとピッタンコ合わさります。ブレーキディスクがデフのすぐ横にあるのもこの時代ならではで、このインボードブレーキという方式がまた時代を感じさせるパーツです。

ウイングカーという革新を得たロータス78、そこから空力のためにさらに研ぎ澄まされたのが79です。機首にあったラジエターを移動してノーズも滑らかに、内部では燃料タンクを統合してコクピットの後ろにして、その結果底面のデザインも完璧に。あくまで機能のためですが、それが継ぎ目のない流麗なボディを生みました。

静置するとわかりますが、ボディの横が接地しています。地面と車体をトンネル状態にして、後部で空気を開放する。車体全体で発生したダウンフォースが、カーブでもしっかりグリップするクルマを作りました。

ウイングカーはこの後もほぼすべてのF1チームで研究されるのですが、結果的にこのロータス79こそが最もバランスがとれていた、と言っても過言ではありません。’80年代に入ると、かえって過剰になった空力がポーパシングという問題を引き起こし、行き過ぎたマシンが苦戦する中で、結果的にこのクルマのコンセプトから実直に作ったウイリアムズFW07がチャンピオンを獲得しています。そして、本家ロータスがポーパシング問題を根本的に解決しようとした、革新的クルマがあのロータス88なのです。余談が過ぎるぞ!

F1でもっとも美しいロータス79の姿、そして革新的テクノロジー、それをすべて詰め込んだプラモデル。もうひとつこのクルマの美しさを加速させる要素として、このマシンがまとった広告も挙げられます。黒いマシンに施されたベージュライン。美しいこのカタチを飾るJPSの広告は、現在たばこの広告が禁止されたF1に失われた、ひとつの美でもあったのです。

タミヤのプラモは組み立てるだけでも、このマシン美しいライン・色、テクノロジーを体感できます。ぜひ作ってください。