いろんな戦車を作りたいなと思っていて、違う国のものを選んでいました。ドイツのマーダーⅢ、イギリスのバレンタインと各国の戦車のプラモデルを買っていたつもりだったのに、タミヤのM3スチュアートが完成に近づくにつれて、3つの戦車はどれもリベットが打たれていることに気づきました。俺はリベットが好きなのか。いや、違う。
しかし、目の前にはそういう戦車がたくさん並んでいます。リベットという共通項でくくられた戦車を見ていると、人間の考えることやできることはだいたい同じなのか、なんて思ったりもします。あるいは、戦場で相手の戦車を見て真似したのでしょうか。
M3スチュアートは割とカクカクしたボディで、板状のパーツが多いです。それらがピタッとくっついていくのが楽しい。リベットのせいなのか、装甲が戦車全体を覆うことでどんどん強くなっていく感じがします。そんな車体に対して、キレイな円柱の砲塔が乗るんだけど、ここもばちっと決まるのが楽しい。
このプラモデルはデカールの貼り分けや機銃の有無でアメリカとソビエトの2つのバリエーションが作れます。そして、私の部屋にリベットが打たれたドイツのマーダーⅢとイギリスのバレンタインがある。すると「これが、ドイツ戦車のようなグレーだったら?」などと、別の国の戦車である可能性について考え始めてしまいました。無垢のプラスチックの塊は、塗装を介して様々な姿に変化する可能性を持っている。塗装前のM3スチュアートを前にしてそんなことに気が付きました。ドイツ軍のスチュアートだって作ろうと思えば作れるというわけです。
緑色に塗られ、黄色い帯や星が貼られたスチュアートはさまざまな可能性をそぎ落とされ「アメリカの戦車」として佇んでいます。プラモデルにおけるアメリカの戦車の象徴はデカールと色なのか? なんて思ったりました。それ以外にも、このスチュアートがどこに存在しているのかを決める役割を搭乗員が持っていそうです。たとえば服の色を思いっきり明るくして、私服っぽい感じにすると、博物館に所蔵されている戦車に体験で乗ってみた男性みたいな雰囲気になりそうで、今から楽しみです。
1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。