呉の思い出をプラモデルで係留する/ピットロード 海上自衛隊潜水艦 SS-501 そうりゅう

 友人達と、広島県呉市を訪れた。目的のひとつは「アレイからすこじま」で海上自衛隊の潜水艦を見ること。さっそくJR呉駅からタクシーに乗り込んで出発する。運転手さんはずっと呉で暮らしている老齢の方で、道すがら「このあたりは昔線路があって、SLで海軍工廠から貨物を運んだんだ」というお話を聞けた。ちょっとした会話から、当時の風景の解像度が上がる。歴史ある街らしいエピソードだ。

 「潜水艦がいるかどうかは、行ってみないと分からんねぇ」との言葉に若干の不安を感じつつも、到着してみれば桟橋に停泊していたのは六隻。大漁だ。グレーの護衛艦に混じって、黒い船体が少しだけ水上に姿を見せている。船体の大半が水中に沈んでいる光景は、頭で分かっていても不思議な光景だ。艦番号もなく、遠目ではどの潜水艦かはわからない。

 初めて本物の潜水艦を見た、と興奮する友人。「思ったより大きいんだね」という何気ない一言が新鮮だ。確かに艦船は、日常であまり目にしないスケール感ではある。遊歩道を潜水艦を眺めながら歩く、というのは呉ならではの体験だろう。

 この日は暑く、涼を兼ねて近くの喫茶店「港町珈琲店」へ。まだ昼前だというのに、メニューの海自カレーにテンションが上がり、全員で「くろしおカレー(1,080円)」を注文する。トロみの強いルーは甘みとコクがあり、ピリっとスパイスが利いて、後味にほどよい辛みがやってくる。柔らかく煮込まれた牛すじも美味しい。私には丁度良いバランスで、ご飯がどんどん進む美味いカレーだったが、カレー好きなのに辛いものが苦手な友人は顔を真っ赤にして「美味いけど辛い!」と叫んで周りを笑わせていた。

 そんな旅の一コマを手元に残しておきたくて、ピットロードの1/700そうりゅうを買った。小さなランナーに一隻分のパーツがキュッとまとめられている。これがボックスに二枚入っており、なんだかすこし得した気分になる。わずか4パーツを貼っていくだけで、潜水艦のシルエットがだいたいできてしまうので気軽に楽しめる。ニッパーと接着剤があればすぐにカタチになってくれるので、旅を共にした友人達にも勧めてみようと思う。普段プラモデルを作らない人でも、これなら敷居が低いだろう。

 艦橋に貼る潜望鏡などのパーツはお好みの状態にできる親切仕様。今回は停泊している姿の印象を残したいので何も貼らない。完成した姿はボールペンよりも小さく、わずか12cm。ディテールもしっかりで「作ったぞ」という満足感が高い。

 1/700サイズということは、コレを700倍したらあの大きさになるんだよな……と電卓で計算。8400cm。検索したらそうりゅう型は全長84mとのことで、「ドンピシャだ!」と妙な感動を覚えた……が!記事を書くに当たって写真とプラモを見比べるうち、あの潜水艦はそうりゅうではなかった気がしてきた。でも、思い出はプラモになって残る。そうだ、あの日の私にはそうりゅうだった、ということでヨシ!

Toiny
Toiny

1977年生まれ。雑食系多趣味人間。プラモは素組みで満足しちゃう派。最近はウマ娘にお熱。