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【レビュー】細かすぎる違い・増えた装備と運命の皮肉 「ヤマシタホビーの桃」で泣け!

 ヤマシタホビーは高精細、高品質な艦船模型を送り出しています。松型駆逐艦はみな木の名前を冠していて、起工順に松、竹と発売されて梅を飛ばして桃が発売になりました。

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 基本形は松と同じ内容なのですが、武装の取り付けが増えています。後部甲板に対潜水艦用装備の爆雷が増設されていることです。艦尾に双方向の爆雷投射機が備わっていますが、外側にドラム缶のような爆雷をポンと投げる装備です。

 キットの精密さは素晴らしいの一言で、肉眼より写真で撮影したほうがわかるほどです。12.7cm単装砲の防盾はまさに松型用の装備で、このディテールはとてもウレシイ。

 精密さがすごいのはこのあたりのパーツでしょう。一般的なプラモデルではゲートの切り屑ぐらいのサイズですが、これはパーツです。答えは艦橋の左右に取り付ける、艦舷灯です。左は赤で右は緑、他の艦船から見たときにこの船の方向がわかる部分です。紛失しやすいからなのか、2つずつついています。

 組立自体は簡単です。船体内部にはしっかりダボがあって、まずここに通常の接着剤をつけて固定してから、パーツの境目に流し込み接着剤を入れることでガッチリと固定しましょう。

 艦橋も細かい差異を押さえつつシンプルにパーツ分割されています。小さなダボやパーツ取り付けのためのへこみが全体に機能するので、本体の完成は時間がかかりません。

 ピンセット、しかも良いものが必要な瞬間です。先述の艦舷灯。切り取りの際にも落とさないように注意して、ピンセットで出っ張りを摘んで接着剤のハケにつけます。こうして慎重な取り回しの末に所定の位置を探す……しかし、取り付けたときにやはり効果があるし、色をしっかり赤や緑で塗ったときにワンポイント目を引く部分になるのもこのパーツです。苦労する甲斐はあります。

 こうした精密な艦船模型をつくるときオススメなのがセメントSです。ディテールにちょっとついても溶解が最小限なので、ピンやダボには通常の接着剤を、その後セメントSで固めるという2タイプでガッチリ接着すると安定します。

 それまでの駆逐艦は魚雷モリモリ、艦砲も強く、とっても攻撃的な姿だったんですが、戦中かつ後半に建造されたこともあって、対空や対潜に比重が変わってくる時期でもあります。

 艦橋周りや船体に多数取り付けられた機銃だけでなく、マストには一三号電探をつけレーダーでも対空に気を配っています。それでも桃は航空機からの攻撃によって痛めつけられています。

 14cmの小さな船体に、たくさんの武装を積むのが駆逐艦の魅力ですが、それぞれ役割がわかるともっと面白くなります。今回増設したのは後部の連装高角砲と後マストのあいだ、艦の端に箱と投射機を4組増設した部分ですが、艦尾にはそのまま爆雷を落とすための軌条、高角砲の前には左右に爆雷を投射する装備とモリモリ対潜水艦装備があります。

 駆逐艦桃は対潜水艦装備を増したにもかかわらず、その最期は潜水艦によってもたらされます。バラオ級潜水艦ホークビルによって放たれた魚雷が命中し、そのまま海に消えていきます。竣工が1944年6月、沈没は12月。わずか半年の戦いでした。この桃のプラモデルは、増設した爆雷投射機と潜水艦……桃の運命が皮肉にも交差することを語っています。

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けんたろうのプロフィール

けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。

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