海洋堂発「キリンのプラモデル」で、みんなの筆が走りそう。

 キリンがバラバラになってランナーにくっついている、というだけですでに嬉しい。「キリンのプラモ」はいままでどこにもなかったので、これが唯一にして決定版。他のメーカーが「じゃあおれもキリンのプラモを出す!」となるかどうかわかりませんけど、そうなったらいろんなキリンを選ぶ世界線が訪れて「どこどこのキリンはここのディテールが素晴らしいのじゃ」みたいなレビューが生まれたりする。戦闘機や戦車では当たり前だけど、動物だとなかなかない。オンリーワン即ナンバーワンということで、最初にキットにしようと思ったことが偉いなと思うわけです。

 近づいてみるとキリンの体表には模様を塗り分けるためのガイド(スジ彫り)が入れられています。なるほど、と思いそうになるんですけど、キリンってどんな模様だったか一瞬思い出せない。これまたライオンのプラモと同じように「キリン 色」とかでググらないと明瞭なイメージが描けなかったりします。逆に言えば、プラモを一回組んで塗ったことがあれば、対象物がどんな形でどんな色だったか一撃で記憶できます。俺たちはプラモで世界を認識していた……!?

 そういえばガントリークレーンのプラモもないですよね。コンテナを積み下ろししていないときに首をギューッと上に折り曲げている姿がまるでキリンのように見えるから、ガントリークレーンを「キリン」と呼ぶ人もいます。この複雑な姿がプラモになったらどんだけ楽しいでしょう。そしてこれを組んで塗ると、「オレはガントリークレーンのこと、全部知ってるぜ!」という気持ちになれるはず。そう、プラモにするというのは、世界をひとつずつ理解していくのと同じなのかもしれません。

 その昔、僕の友達がアフリカで実物のキリンを追っかけたという話をしていて「さぞ大きかったでしょ」と訊いたら「いやキリンはな、大きいとかじゃないねん。めっちゃ斜めなんや。ものすごく斜め!」と言ってました。確かに背中がすげー斜めですよね。馬と同じシルエットだと思っていると、全然違うんだな、みたいなこともプラモデルになると追体験できるわけですよ。なんだこの話。

 組み立てはごくごくシンプル。塗装は模様を見ながら塗り絵みたいに塗っていけば、おそらくちゃんとキリンのように見えるでしょう(全然実物とは関係ない色に塗って、空想のキリンを生み出す自由もアナタにはあります)。じつはこのプラモ、キリンのほかにもいろんなアイテムが入っていて、それぞれすっごく楽しいポイントが散りばめられています。それはまた、別の記事でお見せしますね。そんじゃまた。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>/nippper.com 編集長
からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。