誰もがキュートな姿に出会える、「架空のEV軽トラック」のプラモデル。

 海洋堂の「観光客とキリンセット」には架空のメカが入っています。そのなも”スマイリー(モデル135)”。丸っこい顔が特徴的なEV軽トラックです。「架空のEV軽トラックのプラモ」という時点でかなりグッと来てしまうわけですが、なんと原型製作をしているのは超凄腕メカ原型師、谷明氏。『ファイブスター物語』関連アイテムに代表されるバキバキのロボット造形はもちろん、かつてはワールドタンクミュージアムで戦車への造詣の深さや小さいのにキレッキレの彫刻を見た人も多いはずです。

 にっこり微笑んでいるようなグリルの形状がスマイリーという名にふさわしいのですが、たとえば屋根の下にバックミラーがあらかじめぶら下がっているパーツや、運転席と助手席(そしてセンターコンソールも!)が一体になったパーツはクルマ模型の組み心地を大きく変えてくれる設計。小さなパーツをえっちらおっちら貼らなくても、室内の様子が一気に出来上がっていくさまが想像できますよね。

 なにより運転手のアニキがGOOD。頭/上半身/下半身の分割に、右腕とハンドルが一体になった造形が最高にグルーヴィ。よく見ると左手の指もハンドルを握った状態で彫刻されているじゃありませんか。ウォーハンマーやタミヤのミリタリーミニチュアでよく見る「握っている造形をちゃんとやりたければ、握られているモノといっしょに彫刻したほうが一体感が出るぜ!」という方法論をここで踏襲しているわけです。いいね〜。

 組んでみると、ステアリングコラムがないハンドルが両手に握られ宙に浮くカタチに。右足と左足のつま先が微妙に違う角度になっているのも芸が細かい。動かないプラモデルに演技をつけるって、やっぱり素晴らしい遊びだなと思わされます。

 なんとタイヤはシャーシに取り付けられるのではなく、トラックの左右のパーツにはめ込む構造。足回りの複雑な構造を「再現」する模型ではなく、手早く確実にクルマのカタチを手に入れられるようある意味割り切った構成になっているのを見て「まだクルマ模型にはこんな組み味を思いつく余地が会ったのか!」と驚かされました。最終工程の直前は、まるでクルマの開きみたいです。

 1/35スケールなので、完成すると本当に手のひらサイズの可愛らしいEV軽トラックが完成。戦う気がどこにもなさそうな、長閑でゆったりとした時間が流れます。隣にライオンを置けばもうサファリ。お好きな色で塗ってよし、タイヤだけ染めてよし。なんならこのまま置いといても何ら威圧感のない、スンとした佇まいがなんともカワイイ一品です。観光客とキリンセット、ホントにプレイバリューが高いのでみなさんも必ず手に入れてください。そんじゃまた。

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からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。