手軽に買える高難度プラモデル/エフトイズのF-14でトップガンを受講する。

▲製品名のロゴデザインからしてトップガンを意識しているよ。抗えないよ。

 映画トップガン・マーヴェリックにあてられて思わず買ってしまうキットの代表格がエフトイズのF-14なんじゃないかと思う。ガムがついてる「食玩(お菓子のオマケ)」枠でスーパーのお菓子売り場でも売っているかもしれない。とりあえず手にできてしまう650円(税抜き)という安価さといい、店頭に並ぶ時期といい、映画タイアップ商品ではない(F-14という戦闘機自体は映画と関係なく存在するので)なかで「鑑賞後の高揚した気分にバッチリ合わせてきた」ほぼ唯一のプラモといえるかもしれない。

 箱を開ければぎゅうぎゅうにつまった部品が現れる。それでも主流サイズとされる1/72と比べればずっと部品も少なくて、何より塗装済みなら組み立て「だけ」すればいいからひよっこパイロットにもきっと優しいに違いない。そんな風に思っていた時期が自分にもありました……。

 これが思ったより難しかった。「塗膜を削ってすり合わせて、要所で塗装をリタッチする」スキルを要求してくる箇所が結構ある。
 そう、このキットは箱に「半完成組み立てキット」って書いてあるけれど、簡単とも、手軽とも、もっと言えば「初心者向け」なんてどこにも書いていない。ガムがついてるから、食玩だから、きっと手軽に違いないとこっちが思い込んでいただけだったのだ……。

▲ひとまず「完成」。デカールを一式貼って塗装図を見て数箇所塗り足したりしています。

 少々組みづらいところはあるものの、ひと通り説明書上で指示される部品を貼り付ければ「完成」する。でもトップガンならこのくらい当然だね。むしろトップガンならここからがスタートってもんさ(!)。キットを説明書通り組み上げたとか、デカール全部貼ったとか、ヘルメット塗ってみただとか…そんな事でマーヴェリックに勝てるのかい?

▲筆でウェザリングカラーを塗り伸ばす。

 僕も歴戦のモデラーだからチャチャっとMr.ウェザリングカラーで汚しを入れたりするんだぜ!空気が流れる方向に跡をつけながら塗り伸ばす。

 「カッコいいwwwww!」と高揚したもののすぐに我に返ってしまう。「何かが違う…というかコレいつもの手癖で跡つけただけじゃん。全然トップガン☆マーヴェリッってないじゃん!」そう、自分はもう「観ちゃった」側の人間なのだ。トップガンなのだ。マーヴェらないわけにはいかないのだ(錯乱)。

▲映画を見た結果、映画に出てきてない実機資料にあたって映画のイメージを反芻する(?)

 ちなみに、この斑模様は先程のウェザリングカラーを塗った層を薄め液を含ませた綿棒で叩くように拭って表現した。先のとがったのとかサイズ違いとかを用意すると斑模様が単調にならなくて具合がいい。いつもの方法じゃいつもの通りにしかならないのでいつもと違う方法を試して習得するのだ。トップガンの醍醐味って感じがするよ。(すごい強引……)。

▲映画を参照せず(参照できずに)に脳内の興奮した記憶を追いかけて作るプラモデル。

 もう実機資料しか見ないで塗っているので映画関係ないじゃん!という気もしてくるけど、作っている本人の感覚は「おお、本物に近くなってきた!映画もこんな感じだった気がしてきた!」というものでどんどん映画に近づいているのだ。本人的には……。
 まぁ、こうして文章に起こしている時点で振り返れば映画の記憶が疑似記憶に刷り替わっていってるだけのような気がしなくもない。そもそもこの塗装の機体が映画に出てるわけでもないし。

 それにしても、これだけの映画が(しかも映画自体は公開まで2年寝かせているのに)公開2ヵ月以上を経てもメイキングをはじめとした資料らしい資料が出ることもなくみんなスクリーンで見た記憶だけを頼りに模型を作ってるというのを2022年に体験するとは思わなかったよ……。エフトイズのF-14はまさに最安で受講できるトップガン教育みたいだった。みなさんもこのアイテムでマーヴェりましょう。

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HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。