再会、ふたりのアヴィエイター/ハセガワ F-14トムキャット

 ぼくたちは、埋めたどんぐりの場所がわからなくなってしまったリスのように、途中まで作ったプラモデルのことをすっかり忘れてしまうことがある。だって家には何個もプラモデルがあるのだ。そんな忘れられたプラモがふとした瞬間に目の前に現れる時がある。最高の映画によって。

 話題の新作、トップガンマーヴェリックを観にきた。あまり期待せずに来たのだが……。ゴーン。オープニングの戦闘機が奏でる爆音で僕の心は一気に吹き飛んだ。映像も音もストーリーも何もかもよかった。そして何より、出てくる車、バイク、戦闘機がプラモとして発売されているものばかり。そういえば…記憶の中のどんぐりがひょいと顔を出す。そうだ、トムキャットのプラモデルが家にあったな。

 家に帰ってきて、ずいぶん前に少し作って棚に積んでしまったハセガワ、トムキャットの箱を開ける。半分ほど組まれたトムキャットが変わらぬ姿で僕を待っていた。

 キャノピーはマスキングされ、機体の側面には合わせ目を消そうとした跡が見える。すっかり忘れていたけど、組み立てて行くにつれ「あぁ、こういうキットだったな」とだんだん思い出してくる。どういうふうに塗装しようかと少し悩んだが、考えるよりまず行動しろというマーベリックの言葉が聞こえた気がして、とりあえず機体を白で塗装していく。

 塗装をした後、キャノピーのマスキングテープを剥がすと、そこに二人のパイロットが現れた。

 どうやら以前の自分はパイロットを塗装してコクピットに乗せていたらしい。このこともすっかり忘れていた。もしトップガンを観なければ、このキットのことを思い出さなければ、二度と二人には会えないところだった。帰艦した二人のパイロットに言いたい。戻ってきてくれてありがとう。

 プラモデルには「組み立てられるべきタイミング」というのがあるのかもしれない。それは、新製品のカッコいいプラモを組み立てたい!という時かもしれないし、名作キットの魅力にふと気づいた瞬間かもしれない。または、何かのきっかけで自分の家に仕舞い込んだ作りかけのプラモが輝いて見える時かも。色んなプラモとのふとした出会い、再会を大事にしたい。改めてそう思った。

<a href="/author/motomotopi/">もとぴ</a>
もとぴ

東京在住。世界を理解するための糸口としてプラモデルを制作中。趣味の記録や思索のためにnoteも書いています。