ランナー1枚に分割されたパーツが2つ。たまに目にする構成だとは思うけど、珍しいかと言われえばそうでもない気がする。だが、私が今手にしている「パンダ人間」はこの内容が全てである。つまり、2つのパーツをランナーから切り離して貼りつけてしまえば完成するプラモデルなのだ。しかも、スナップキットで接着剤を使用しなくてもいいというお手軽さすら兼ね備えている。
ここで疑問に思ったのは、ほぼ2〜3手で完成するプラモデルは本当にプラモデルと言えることができるのであろうか? ということ。ネタ元の邪神ちゃんドロップキックでは「組み立てる喜びをどこかに置いてきたプラモ」と書かれている。実際に手に取り確かめてみようではないか。手にしてわかったのだけど、造形はかなりしっかり哀愁漂う体型を表現しているし、ちゃーんと遊べる余地がある。
ふと思い立ち、ダイソーで購入したネオジム磁石を足部分にはめ込んでみる。なんとスッとはまり込むではないか。まるで定められていた工程のひとつと言わんばかりに素直にはまったもんだから、思わず笑ってしまった。最近になって「プラモデルをいろいろな場所・条件で撮影をしたい」と欲望を抱えていたところに、ネオジム磁石を思いついたのは本当に僥倖というか青天の霹靂というか。
このおかげで、磁石でくっつく場所さえあればプラモデルを連れて撮影ができる。一応ちゃんと機能するのかと自室で試してみると、プラモデルの半身が窓辺の柵に張り付いているというシュールな状況が完成。なんなんでしょうねこれ。
磁石を接着させパカッとはめれば完成!さて、どこで撮影しようかと外に出ると、目に入ったのはガードレール。もしかして…ここに貼り付くのでは? と置いてみると、磁力的にも雰囲気的にもピタッとハマる。これだ、この「なんでもない空間にプラモデルのある風景」が見たかったのだ! とやや興奮気味に撮影。
パンダ人間はたしかに「組む喜び」とは縁遠いプラモデルになっているし、狙いとしても受け止め方としても「ネタ」であるのが正しいプラモだ。しかしながら、それ以上に自分はどう遊びたいのか、それを実現するにはどうすればいいのか考える機会をくれるプラモデルだっだのだ。