ドイツ軍が大戦終了まで使い続けた戦闘機にフォッケウルフFw190Dがあります。D型はドーラと呼ばれ、空冷エンジンを搭載していたA型から見ると液冷エンジンであるユモ213シリーズを搭載し、機首がぐいーんと伸びたので「長鼻」とも呼ばれてたとか。ドーラの中でも一番ポピュラーなのはD-9型と呼ばれ、それこそタミヤを始めとする様々なメーカーからキット化されている機体。
今回IBGモデルが新規に1/72ドーラを出すという話が上がってきた時は若干今更感もあったんですよね……そしたらどっこいやってくれましたIBG。まさかのフルリベット、エンジンも再現、細かなバリエーション展開を行うなど、驚きのラインナップに大喜びでありますよ!
今回ソイヤと作ってみたのはそんなドーラファミリーの中でも異端児であるD-15。ドーラは元々ユモ213というエンジンを搭載した結果めっちゃ強い機体になったんです(語彙力のなさ)。でもこのD-15は、同時期にドイツ軍の主力戦闘機でもあった、メッサーシュミットBf109が搭載していたダイムラーベンツ603エンジンを搭載してるのです!!
外見的な変化は少ないんですがエンジンがゴッソリ違うというのは面白い。ただ、作られたのが終戦ギリギリでほぼ間に合わなかった機体だったりもします……終戦間際のドイツ軍の兵器はロマンの塊でもありますね。しかもそんなレアな機体に、BT700魚雷型爆弾という特殊な装備を搭載した架空の機体として製品化しちゃってるんです!! IBGのラインナップ冒険がすごいなあと思うわけですね……。
前述したようにIBGのドーラは機体全面に凹リベットがこれでもかと再現され、ランナー状態で眺めているだけでワクワク楽しくなります。もちろんそれだけじゃなくて、小さなヒンジや場所によっては凸になっているリベットなんかも再現されており、気合の入れ方がわかるってもんですな。
風防(キャノピー)も4種類入っており、他の型式のドーラにも使えるようなパーツになっています。それ以外にもスピナーとかエンジンカバーとか、エンジン固定用マウントとか、バリエーション展開の為に余剰パーツが発生しており、細かく作られてるのが分かってここでもニコニコできますね!
コクピットを作るのが飛行機模型のセオリーではあるけど今回はエンジンも入っているのでまずは具から作る感じ。主翼の桁パーツに組み込むのでこの状態でカタチになるのは面白い。あ、因みにエッチングパーツはシートベルトとかの薄さを必要となる部分にセットしていきます。
尾翼の動翼部分は別パーツとなっており、動きを出す事が出来ます。ここも一体成型されていると楽ですが、キットのように動きを出そうと思うと切り取ったり断面の処理をしたりと地味に面倒なことに……。別パーツになっているからこそのありがたみですね。
実際に組み上げてみると、フルリベット故に接着剤がはみ出さないように注意したり、バリエーション展開の為にパネル毎に分割されていたりする機首周りのパーツ合わせにちょっと注意をする必要もあります。
そこは国産キットのようには組めるわけじゃないっすね。とはいえここまでバチバチにディテールが入り、さらに細かなバリエーション展開をしてくるドーラのプラモデルは新世代のキットと言っちゃっても問題ないんじゃないでしょう!!!
んで今回の目玉の一つでもあるBT700魚雷型爆弾。形状的に魚雷っぽくも見えるけどスクリューがついておらず、カテゴリー的にはあくまで「爆弾」。フネを狙う対艦爆弾というドイツ軍の秘密兵器なんですが戦争には間に合ったもののまとまった数を投入出来ず、そこまでの戦果を挙げた武器ではありません。ただ、ギリで実戦参加を成しえなかったD-15と、このBT700魚雷型爆弾のセットは面白い組み合わせだと思います。
そんな感じのIBGモデルのドーラでした。さっきもちょこっと触れましたが、ある程度パーツの組み合わせには気を付ける必要もありパカパカ組めるキットではありません。ただリベットびっちりの1/72ヒコーキモケイの魅力はそんなことを吹き飛ばすほどのかっこよさです!! ぜひ組んで最高のドーラをゲットしてください!!
1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。