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【キットレビュー】生産差異が生む個性美まで楽しめる!「ファインモールド Bf109G-10 レーゲンスブルグ工場製」を組む!

 第二次世界大戦中のドイツ空軍の主力機、メッサーシュミットBf109。エースパイロットをゴロゴロ生んだ傑作機ではあるのですが、反面大戦中に後継機の決定版が現れず、パッチを当てまくって敗戦まで使い倒された戦闘機でもあります。そのツギハギぶりが逆にかっこいい……というところにフォーカスしたのが、ファインモールドの1/72 Bf109G-10です。

 まず特筆すべきがキットの箱絵。『マシーネンクリーガー』の作者にしてメッサー大好き人間である、横山宏氏が担当しております。煙る滑走路の上をいままさに離陸せんと疾走するメッサーの姿のかっこよさはすでに実物を追い越しており、この箱絵のためだけにキットを買ってもいいほど。コクピット横の迷彩の掠れ具合なんかはこの「青の4」の実機写真通りで、箱絵がそのまま塗装見本になりそうです。

 Bf109は大戦全期間を通して改良に次ぐ改良を重ね、老舗の鰻屋のタレみたいになっちゃった飛行機です。その中でもエンジンを積み替え、後半戦の主力として活躍したのがG型。さらにそのG型の仕様内でもマイナーチェンジに次ぐマイナーチェンジが重ねられ、極論を言えば「特定の機体の細部の仕様がどんな感じだったかは、機体固有の製造番号と製造記録を照らし合わせて見ないと完璧には判定できない」という恐ろしいことになっております。だからこのキットにもわざわざ作った工場の名前である「レーゲンスブルグ工場製」とか製造ブロックを示す番号である「W.Nr.Block 13000」とかが書いてあるんですね。ファインモールドの執念を感じるキット名です。

 で、このG-10型は1944年もかなり後半になってから配備されたタイプ。ファインモールドはそのような第二次世界大戦後半で活躍したタイプのBf109である、「Bf109 F-2」、「Bf-109 F-4」、「Bf109 G-10」「Bf109 K-4」を1/72スケールでラインナップ。これらのパーツから、それぞれのタイプをセレクトして組み上げていくので、タイプごとに使用しないパーツも出てきます。

 Bf109 G-10は、大戦末期の本命とも言えるBf109 K-4の配備までの空白を埋めるべく登場した高性能機。既存のG型に、K型用に開発していたDB605Dエンジンを搭載したのが最大の特徴。機種カウルも再設計され、G-6などの特徴である機首のボイレも整形されて滑らかな形状になっています。

 本キット名に「レーゲンスブルグ工場製」とつけている理由もあります。この工場では約120機のG-10が生産された後に、すぐK-4の量産へと切り替えます。そのため他の工場で作られたG-10とは異なる特徴があるのです。主車輪はG-6と同じ、逆に尾輪はK型同様の延長タイプを装備。一般的なG-10の特徴と言われる翼上面の巨大なバルジは、レーゲンスブルク工場製にはありません。このような細かな差異をアフターパーツなどを使用することなく、枠の中にあるパーツで楽しめるのが最高なんですね。ちっちゃいキットのなかにさまざまなこだわりが詰まっている……ファインモールドの「念」を感じますね。

 組み上がってみれば、コクピット前方がぐっと張り出しつつ、ニュルッとした曲面でまとまっている機種周りの形状が実にセクシー。従来より幅広なプロペラも力強いです。この「無理して色んな装置を突っ込みつつ、なんとか空気抵抗が最小限になるように頑張りました」という無理してる感じが模型としては見た目の面白さになっちゃうんだから、兵器というのはよくわかりませんね。ファインモールドのキットらしく、パーツの彫刻の精度はもちろん申し分なし。マーキングもほとんどマシーネンで、パパッと組むだけでイカしたシルエットが組み立てられます。特に今月号のスケールアヴィエーションを読んで「後期メッサーってかっこいいけど、何から作っていいのかよくわからんな……」となった人には、ぜひ手に取ってほしいアイテムです。

しげるのプロフィール

しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

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