ハセガワのレトロ自販機シリーズも5作目。ラーメン自販機である。このnippperでも本シリーズはずいぶんと紹介されてきたから、製作に関する記事を参考に銀だけペイントマーカーで塗って、シールを貼って文字通りサクッと完成。ちょっとはみ出しちゃったりしたけどお気楽に作るプラモとしては満足度が高い。
本当にリアル!特に透明パーツに貼る「取り出し口」とか「はし・やくみ」のマーキング(?)シールを貼ることで醸されるリアリティがスゴイ……。そりゃガンプラだってマーキング貼りたくもなるわ!後はコレに経年汚れなんかを足していけばもっとリアルに……ってイヤ、それも分かるんだけどいつまで単体での出来映えにこだわっているんだよ。木を見て森を見ずというか大事なことを忘れている気がするんだよ……。
商品パッケージにデカデカと書いてある「1/12可動フィギュア用アクセサリー」という文言。ところがどっこい、自分は1/12の可動フィギュア全く持っていない。プラモに趣味が偏り過ぎたが故に、このプラモ本来のポテンシャルを引き出せない。そんなことってある?……いや、ちょっと待てよ……。
はじめにバイクありき……。横にバイクがあるとそれだけで状況が具体的になる。ここはもう漠然とどっか道の駅。そうだよバイクのプラモは1/12が主流。これなら持ってる!並べられる!
バイクがあれば当然それに乗ってたライダーが必要になるな。タミヤのストリートライダーのオジサンは自販機用どんぶりを持たせるとその小ぶりさが強調されてとてもイイ。
そこに現れる若者達。
「レトロ自販機センパーイ!」
レトロ自販機だって広義のロボットだ。人型ロボットの彼女らから見たら大先輩だ。そして彼女らは広義の可動フィギュアだ!(強引)
「コラ!原付1種に2ケツするんじゃない!」
「ス、スイマセン」
……なるほど確かにコレは「可動フィギュア用アクセサリー」だな。バイク並べたり、ライダー立たせたりした時点では「次は地面作んなきゃなぁ、1/12ってすごいデカいなぁ、あまり不用意に広げたくないなぁ」とかジオラマ素材として捉えていたんだけども、可動フィギュア(ロボだけど)を持ち出したとたんに頭が「演劇モード」にスイッチしたもん。寸劇用の大道具として捉えたら「自販機もっと数があってもいいな」とか全く逆の感想を抱いたもんね。
プラモデルの老舗ハセガワ謹製だから「プラモデルを作る」作法で遊ぼうとしていたんだけど、メーカーとしては最初から「可動フィギュアと組み合わせて遊ぶ商品」としているシリーズなんだよね。ひたすら本物を観察して「リアルに作りこむ」だけでもミニ四駆みたいに「性能を競う」わけでもない、企図としてはプラモデルじゃない存在(可動フィギュア)と組み合わせて遊ぶことが前提のプラモデル。
「アクセサリー」を名乗るほどにあくまでも脇役。横に置くだけで日常のリアリティを担保してくれる。助演賞をあげたくなるような名脇役。このシリーズはそんなタイプの存在感に溢れている。
1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。