レトロ自販機の重力に引かれ、プラモデル世界への再突入回廊を往く。

▲このロゴデザイン担当しました。

 ANIと申します。デザイナーをやっております。

 仕事として時たまプラモの箱も作ったりしますが、実際のプラモ制作のほうはとんとご無沙汰。少年時代にはそれこそ、親が呆れるほどいろんなキットに手を出しては、中途半端に完成させずそっ閉じしたり、余計なパーツ付けて改造したり、水溜まりに持っていってのジオラマごっこからの、手持ち花火を当てて溶かして「バトル・ダメージ処理ッ!」なんていうような、Naughtyプラモキッズの基本を、人並みにエンジョイしてはいたんですけれども……。

 さて、自分は俗に言う「レトロ自販機」というジャンルが大好きなのです。

 24時間営業のコンビニがロードサイドを席巻する以前、「ドライブイン」や「コインスナック」が輝いていた時代がありました。そこに並んだフード自販機は、いつでも好きな時にうどんそば、ハンバーガーなどを楽しめる夢の機械であり、かつてバイクで全国をツーリングをしていたお兄さんや、ゲーム目的でコインスナックに通いつめた少年たちにとっては、いまや記憶の中でスーパーカーやジェット戦闘機と同じ領域に並びかねないような、憧れ思い出マシンなのです。

 そんなフード自販機の、現在も稼働し続ける生き残りを、わざわざ遠出していって愛でる、というような事を自分はたびたびやっていたのですが、近年、そうした自販機たちが「懐かしレトロ自販機」としてメディアで紹介される機会が増加。さらに再評価的なヴァイヴスがじわじわと広がり、とうとうハセガワさんより、この趣味においては定番のひとつと言える「ハンバーガー自販機」(モチーフは富士電機 VH90)が1/12可動フィギュア用アクセサリーとしてプラモデル化されるという、ビックリ事案が発生するに至ってしまったのです。

ハセガワ 1/12 フィギュアアクセサリーシリーズ レトロ自販機(ハンバーガー) プラモデル FA11

 噂を聞きつけた瞬間、脳内の変なニューロンが発火し、反射的にアマゾンでこれを予約してしまいました。

 しかし、その時には考えていませんでした。

 もはや自分の手元には、プラモデル用の作業机もなければ、ニッパーの一丁すらもないことを……。最後にランナーからパーツを切り取ってゲート処理をした日がいつだったかも思い出せません。発売の暁にモノが届いてしまったら、一体それを自分はどうするのか。何年ぶりかわからないプラモデルを、買って満足して積んでしまうのか…? それでいいのか!?

 そこは、まがりなりにも普段nippperをチラチラ横目でななめ読みしながら、「楽しそうだよなぁ〜」なんて思いつつ、ライターの何人かをSNSでフォローしてもいる自分です。そうだよ、ここはちょっとだけ、ちょっとだけ道具をまた揃えなおして、この自販機だけは〝ちゃんと〟作って、そして机に置いて、愛でようじゃない!?そう考えたのでした。

ANI
ANI

1973北海道生まれ。いつもチラチラNippperを横目で見ては、羨ましそうにしてたグラフィックデザイナー。津々浦々の路上観察散歩が好き。おもしろステッカー屋さんもやっています。