パーツとシールの重なりが最高。アイスクリーム自販機のプラモデルを組み立てよう!

 ハセガワが精力的に発売しまくってるレトロ自販機のプラモデル。うどん・そば、ラーメン、トースト、ハンバーガー、大人の本……と続いていて、なんかめっちゃ売れてるらしい。しかしオレは許さんぞ。だって自動販売機って言ってみればタダのハコじゃないですか。色とかシールが違えば何売ってもいいわけで、「正面の板を変えて商売し続けるなんてズルだぞ!もっと真面目に世の中のいろんなカタチと向き合わんかい(過激派)!」と思っていないと言えばウソになる。

 しかし、しかしだ。そんなオレでもこのレトロ自販機にはメロメロになっちゃったのよ。アイスだ。アイスの自販機だよ。あったよな。オレ一回も買ってもらったことないよこのタイプの自販機で。アイスを。なんという親だ。この放射状に配置されたアイスのモックアップ、なんかすっげえ心にクる。ハートに刺さった棘が……抜けそうだ。

 それはそうと、ハセガワのレトロ自販機シリーズはシールを貼るのがめちゃくちゃ難しいんだよ。すっげえ薄くてさ、粘着力がめっちゃ強い。シールそのものが静電気を帯びるのか、そーっと位置決めしようとするとあらぬところにスパピターンと貼り付いて、カドをビシッと決めてそっと貼ろうというこっちの気持ちはいっさい汲み取ってくれない。このシールの質さえなんとかしてくれるとありがたいんですけどどうでしょうかハセガワさん。頼む。

 ちなみに位置決めが爆裂難しいシールを貼るときは、貼る前にパーツに中性洗剤を一滴垂らすのがコツだとプラモうまいアニキに聞いて、今回それをやってみたらある程度ヌルヌルと位置決めができた。うーん、こういうTipsはパッケージに書いておいてもいいかもね〜。

 この説明書、ワンダーだよね。アイスのモックアップを正面にプチプチ嵌めていって、透明パーツで封印。それぞれの層にシールが貼られるから、色と形が6枚重ねのミルフィーユ状態になって立体感が半端ねえ。レイヤードの魔力だ。いままでのハセガワのレトロ自販機にはこのワンダーがなかったんだよ。カタチの重なり、色の重なりで奥行きのある自販機がみるみる出来ていくこの感じ、ついに来たよ。まさに新時代だねこれは。

 この世にはありそうでなさそうなアイスのハコをデザインするという仕事があるんだ。値段も消費税がなかった時代を感じさせる数字で嬉しい。デフレは困るが、プラモデルのなかには時代を逆行する権利が含まれている。ノスタルジーに浸ってもいいし、未来へと思考を飛ばしたっていい。今回は幼少の頃の謎の執着におれはケリを付けようとしているな……。この写真を見ながら適当なアイスクリームを食うと、なんだか涙が出てくる。いや、出てこないけど、美味い。アイスはもともと美味いか。うまさがちょっと増える感じだな。正確には。

 キットには食べかけのアイスのパーツも入っている。figmaを始めとした1/12くらいの可動フィギュアや美少女プラモと合わせても楽しいアイスの自販機。一家に一台、あの時代に戻れる素敵なプラモデルをどうぞ。そんじゃまた。

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からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。