丸ノ内で信号待ちをしていたら、プラモデルみたいな車が止まった。メルセデスベンツの450SLだ。
「プラモデルみたいだな」と思ったのは理由がある。マイクロエース1/24メルセデスベンツ450SLをずっと作ろうか悩んでいたからだ。プラモデルを作るかどうか悩むときは、箱を手にとって「ふ、古そー!」と思うとき。作ろう思うときは、パパっと検索しても完成させた人があまり見つからないとき。マイクロエース1/24メルセデスベンツ450SLは検索してもそれほど完成品が見つからない。
プラモデル自体は、シンプルなパーツ構成で、サクサクと出来上がる。エンジンやインテリアの組み立て方なんかも、トラディショナルな良さがある。
昔のプラモデルってある意味では設計の文法みたいなのが似ていて、一度読み解くことができると割と普通に作れてしまうので結構好きだ。このベンツはドアやボンネットに開閉機構が設けられてたりと、尖った部分もある。あとは、サイドウインドウのガラスを省略して、割り切られていたりもする。フロント・リアのウインドウのクリアパーツは接着しろがなかったり、フィッティングに気を使う必要があったけど。
一番面白かったのはバンパーのパーツ分割で、黒とメッキシルバーのパーツがシンプルに組み合わさりながら実物っぽさを追及しているところだ。
この丁寧なバンパーが前後につくだけで、車の雰囲気が一気によくなるし、この工程が一番楽しかった。丁寧といえば、バックライトもなぜか色分けが必要な部分で分割されていて、これも良い仕事だ。
完成した姿を見て「デカい」とすぐに感じたのだけど、その感想はまさに丸ノ内で見かけたベンツを見たときと同じものだった。「2022年に、俺はこの車を見たんだ!」という、何物にも代えがたいモチベーションと、ある日突然街で実物に遭遇するという、カーモデル特有の楽しみをたっぷりと味わうことができた。
1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。