「ノーツフレッシュ」が導く魅惑のボディライン/タミヤ メルセデス・ベンツ300SL

 ノーツフレッシュオレンジという塗料がある。瓶の横には「ミリタリー、キャラクター用フレッシュです。」と書いてあり、フィギュアに塗って白人や黄色人種の肌の色を表現する塗料なのだとわかる。ところで自分の肌を眺めてほしい。肌の色は人によってまちまちだろうからいいとして、その質感はしっとりした艶消しではないだろうか。黒ギャルも読んでいるかもしれないので大きなことは言えないが、多くの人の肌はテカテカの光沢ではないはず。にもかかわらず、この塗料は光沢で作られている。何かフィギュアを作る人にはわかる理由があるのかもしれない。でも、私はこれを自分勝手に、カーモデルの塗装に使うために光沢なのだと解釈した!

 肌の色だということをあえて忘れると、少しレトロな感じの色に見えるノーツフレッシュ。現代車よりも古い車の方が似合うんじゃないかと思い、チョイスしたのはタミヤメルセデスベンツ300SL。ボンネットやドアのパーツを切り出したら、ボディパーツにマスキングテープで裏から固定して塗装していく。

 私たちは車のボディが金属でできていて、その上には硬質な塗装が施されていることを知っている。だからこの塗装された光沢の表面を見れば、その塗膜の硬さをイメージできる。しかし、それと同時に300SLの丸みを帯びたボディラインも相まって、フレッシュカラーのボディが、まるで生き物の皮や水が滴った人肌のように見えてくる。

 こうして眺めてみると300slのボディラインは徹底して丸く、滑らかに作られていることがよくわかる。唯一シャープな側面のフィンも、まるで魚のエラのよう。単に空気の流れを良くして速く走るためという合理性だけではなくデザイナーの美意識が感じられるようだ。


 300slの特徴的なトラス状の内部フレームをボディの中に組み込むと、この車はまた不思議な見え方をする。フレームが工業的な見え方を増幅させるのかと思いきや、有機的な鋼管と鋼管のつながりはまるで骨格を思わせると同時に、直線的なフレームが逆にボディラインの曲線を際立たせる。本来、実写では見えるはずのないフレームが見えるということもなんだかグロテスクな雰囲気。中途半端な姿ではあるが、この見た目がすごく気に入ってしまったのでこのまま飾っておこう。

 色、組み方、その順番、それらを自由に選べるのがプラモデルの楽しみだ。それは時に本物のモチーフを眺めた時には味わえない視座を与えてくれることがある。フレッシュは肌に使わなくてもいいし、フレームだけボディに入れ込んでも、そのまま完成としてもいい。これはプラモデルにしかできない遊びだから。

もとぴ
もとぴ

東京在住。世界を理解するための糸口としてプラモデルを制作中。趣味の記録や思索のためにnoteも書いています。