かつて、電動モーターで動く戦車プラモデルが流行った頃があったそうです(専門的にはこういうのを、“モータライズ”と言うらしい)。筆者は当時を知らないのですが、現在の1/35というスケールは「モーターや電池を入れるサイズに適していたから生まれた」というのですから相当です。その後、有線リモコンで前後左右に自由に動き回れる戦車プラモデルも登場して、それを体験した記憶は今でも鮮明に残っています。
じぶんで組み立てた戦車プラモデルが、見知った庭を縦横無尽に駆け巡るのです。ただ接着剤で組んだだけの戦車でしたが、最高に楽しい思い出でした。それから現代、どういう経緯かは知らないのですがこの分野は衰退してしまい、各社から発売されていたモデルは入手できなくなりました。
しかし、やや小ぶりの1/48スケールであれば、今でも何種類か購入が可能です。
以前、10式戦車(陸上自衛隊)は組んだことがあり、今回、同記事作成にあたりピックアップしたのは、キングタイガーという車両。きっかけは、年の変わり目。
2022年は干支でいうと寅年であり、そうすると、模型で何かキットが作りたくなります。戦車にタイガー(ティーガー)という、虎の名を冠する車両があるのはすこし知っていました。モータライズ好きとしてはここでも断固動く戦車が欲しい訳で、調べてみたらいくつかあり、そこから強そうで、砲塔が回転するモデルを、と選別した結果、このキングタイガーと相成りました。
箱を開けてみるとそれほど多くないパーツ数に、いやが上にも気分の揚がるモーターやギヤボックスが目に飛び込んできます。そして、ラジコンのような大振りのリモコンボックスも。個人的に、動く戦車プラモデル(広義的には動くプラモ全般)は熱心に買い集め、保管はせずに作っていますが、これが一発目のリモコン(戦車)プラモデルであれば難しいことは言わず無塗装で組み立てて、デカールを貼るだけで良いと思います。
なんと言っても、リモコン戦車の最大の楽しみは、『走らせる』ことですから。精緻に作り込んでも何かの拍子に曲がったり折れちゃうこともあります。いっそ大味で作っておいたほうが、気兼ねなく遊べるというものです。
このキットは2モーター2ギヤボックス仕様ですので、左右旋回が特にストレスなく遊べます。メーカーでは推奨していないと思いますが、ちょっとした土の上でも泥でも走ってくれます。動力シャフトと繋がっている(いわゆる)起動輪が噛み合うタイプではないので、たまにベルト式の履帯(りたい。キャタピラのことで、実は“キャタピラー”は登録商標なんですってー)が外れちゃいますが、現物もそういうことはあるので、そこはご愛嬌。本来は、室内で遊ぶモノですからね。
でも、『戦車』だし『走る』んだから、個人的には土の上でガシガシ遊んでOKだと思います。じぶんは、いつも外で豪快に走らせて、一気に童心に還っています。なにせ、子供の頃の強烈な記憶は拭いきれませんし、砂利程度は涼しい顔してゴリゴリ走っていくそのさまは、コンクリートジャングルとアスファルトに囲まれた現代の生活では、新鮮爽快そのものです。ぜひに!