塗る前から黒と黄色!PLUMのハイパー職人芸で生まれた踏切のプラモデル。

 突然ですが、皆さんは踏切を持っていますか?私は(その一部を)持っています。上は軽い気持ちで買った「踏切警報燈」であります。信じられないくらい重いし、直径が40cmくらいあります。脂汗を垂らしながらビニール袋に入れた踏切を持って突然帰宅すると、おうちの人に激しく怒られます。外で見る踏切と家にある踏切は大きさが全く違います。気をつけましょう。案外安いよ。

 思ってたのの3倍でかい踏切も、プラモデルならば小さくて軽いため脂汗を垂らさなくても入手できることが知られています。見てくださいこのパーツ。黒と黄色が最初から塗られている……のではなく、なんとひとつのパーツに黒いプラスチックと黄色いプラスチックが共存して踏切の色をほぼ完璧に再現しているのです。なんということ!

 裏返してみましょう。表面は黒いランナー、裏面が黄色いランナーになっていて、それぞれからゲート(パーツと枠が繋がっているところ)が伸びています。詳しい説明は省きますが、金型を2回閉じ開きする工程でそれぞれ違う色のプラスチックを流すことでこうした芸当が可能になります。昔のドラグナーのプラモやガンプラでは目にしたことがあるかもしれませんが、多色成形と言って身近なところでは歯ブラシの柄やクルマのインパネに付いてるボタン、キーボードのキートップなんかでも使われているアイディアです。

 色を塗ればだいたいのことは再現できるのがプラモのいいところですが、たしかにこの黒と黄色のダンダラを塗るのは超めんどくさい。それなら最初からプラスチックで再現しちゃえばいいじゃない!というOMOTENASHIがここに発生しているわけです。すごいのが、ただ色分けをプラスチックで再現しただけにとどまらず、異様にディテールが細かいことです。

 小指の爪くらいの列車進行方向指示器ですが、ちゃんと矢印が彫刻してあります。お好きな方向の矢印にアクリル塗料を流し込んで、はみ出したのは爪楊枝でこすって剥がせば気軽に列車の通過を予告することができます。ハシゴや土台もパーツ化されているので、お好きな地面に踏切をにょきにょき生やすことができます。スケールは1/80(日本ではHOと呼ばれがちな軌間16.5mmの鉄道模型にだいたいマッチします)ですが、1/72や1/76のプラモと組み合わせてもそんなに違和感はないでしょう。正確な大きさよりそのフォルムと色が印象的なモチーフですからね!

 組み立てと言ってもパーツを切り離せばほとんど完成したようなもの。ガンプラのリアルグレードシリーズを組んだことがある人ならわかると思いますが、アドヴァンスドMSジョイントの如くゲートが入り組んでいてニッパーを入れられる隙間も細いため、先の尖ったよく切れるニッパーを用意してください。2色のプラスチックが絶妙な厚みで絡み合った構造なので、切り出すときに力を加えすぎると普通のプラモよりパーツが折れやすい印象です。

 クリアーレッドのプラスチックで用意された警報燈のレンズは裏面から銀色を塗ってから切り出し、ヒョイッと貼りましょう。プラモ用の接着剤だと塗ったシルバーがベロベロに溶けてしまうので、ボンドや瞬間接着剤が良さそう。

 適当なスタイロフォームにプスッと配置して後ろに同じくPLUMのキハ200形を配置したところ、いきなり超リアルな情景が生まれてしまいました。楽しい〜!鉄道模型を嗜まない人でも、レールと踏切を配置して周りにプラモを置くと絶対におもろい(パトレイバーとか自衛隊車両にも似合うね。スケールを厳密に合わせるより遠近法を利用して映える写真を撮ってみよう!)。

 PLUMのハイパー職人芸で生まれた踏切のプラモデル。まず切り出す前のランナーを眺めているだけでもすごく楽しいアイテムになっています。ちゃんと向かい合わせのふたつがワンセットになっていますので、踏切のある景色をテーブルの上に作りましょう。遮断桿を指でツーっと下げていけばカンカンと脳内で音が響き、遠くからレールの継ぎ目を踏む音が聞こえてくるはずです!

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。