筆塗りのトラブル「はみ出しの堂々巡り」はこれで解決。戦車プラモの転輪塗装も怖くない!

▲戦車の転輪にくっついたゴム。筆で塗り分けることが多いですね。

 

 戦車模型の転輪(足元のタイヤみたいなやつを言います)にくっついているゴム部分の塗り分け。スプレーやエアブラシ塗装で戦車模型を楽しむ人でも、転輪の塗り分けのような細部塗装は筆塗りで対処している人が多いと思います。そんな人にも絶対に役立つ方法を紹介します!

▲使用するのはシタデルカラーの中でも最強のタイヤブラック「コルブスブラック」です
▲シタデルカラー最強のゴム色を堪能してください!!

 タイヤやゴムを塗るなら、俺はこれ一択! シタデルカラーのコルブスブラックです。シタデルカラーは匂いもなく、水だけで塗料の希釈から筆の洗浄までできて、伸びと発色も良いという本当に頼もしい塗料。伸びが良いので転輪のような塗分け部分も、す~っと筆がつっかかることなく塗装することができます。また、シタデルカラーは隠ぺい力(上塗りして下の色を隠す力)が強いので、はみ出した部分も違う色で塗り重ねてしまえばすぐ修正できます。
 しかし、転輪のようなゴムとホイールの境目というナーバスポイントがあると、塗り重ねを行ったり来たりすることで時間もかかったり塗料が厚塗りになってしまったりします。

▲ホイールのダークイエローが転輪のゴム側にはみ出してしまいました

 ここからコルブスブラックで塗り分けても良いのですが、今度はブラックをホイール側にはみ出してしまうと堂々巡りになり、ちまちま時間がかかります(ちなみに上写真の黒はコルブスブラックではなく、下地に塗った黒サーフェイサーの色です)。
 ホイールの色がゴムにはみ出した! ゴム塗りなおしたらゴム色がホイールについた!……転輪塗装八十八か所巡りの開催です。はみ出しの堂々巡りをして時間を食ったり、塗料が厚塗りになってしまいたくなかったら、「エナメル溶剤」と「プレミアムトップコートの光沢」を準備してください! これだけでもうおしまいです。

▲もうちまちま塗り直すのは嫌じゃ……助けて、エナメル溶剤&プレコー!

 シタデルカラーはエナメル溶剤に耐えられません。例えばシタデルカラーで塗った上からエナメル塗料を使用したメジャーなテクニック「スミ入れ」をすると、塗料が溶け出すことがあります。

 しかし、エナメル溶剤で溶けるという特性を活かすと、転輪塗り分けのような小さなはみ出しなら拭き取ることで対処可能です。拭き取りの前にプレミアムトップコートの光沢で保護しておけば、下地に塗った色はそのまま、上に塗り重ねたシタデルカラーだけを拭き取ることができるようになります。

▲コルブスブラックを塗る前に、プレミアムトップコートでダークイエローを保護します。これでゴム色がダークイエロー側にはみ出しても安心です
▲完全にプレミアムトップコートが乾燥したら(これ重要です。完全に乾いてない上から塗ると塗料とプレコーがくっついて、エナメル溶剤で落とせなくなります)、コルブスブラックでゴムを塗り分け。本当に良い色だな~!
▲ホイールのキワにはみ出してしまっても、もう怖くない!! エナメル溶剤をしみこませた綿棒で拭き取るだけ
▲きれい! キャンメイクトウキョウ!!! この後にプレコーをもう一回吹けば、ゴムの部分の色も保護できますね

 プレミアムトップコート光沢はツヤを与えるだけでなく、塗膜を保護する力がめちゃくちゃ高いです。爪で軽くひっかく程度ではびくともしません。エナメル溶剤やウェザリングカラーうすめ液などで塗料をぬぐってもダメージを受けた覚えはほとんどありません。一度保護してからなら、はみ出しの拭き取りも容易にできるので、はみ出しの堂々巡りから解放されます。さらにハードなウェザリング(汚し塗装のこと)をする転輪の塗装保護もこの段階でできてしまうので一石二鳥なわけです。これであなたの転輪塗装も快適になること間違いなし!!!

▲メインカラーをラッカー塗料、細部をシタデルカラーで塗るという方にはこちらがオススメ! からぱたの必殺技をご覧あれ!
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フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。月刊ホビージャパンで12年間雑誌編集&広告営業として勤務。ホビージャパンで様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。「ホビージャパンnext」、「ホビージャパンエクストラ」、「ミリタリーモデリングマニュアル」、「製作の教科書シリーズ」などを企画・編集。